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2018 年度 実施状況報告書

乳歯歯髄幹細胞由来培養上清を用いた誤嚥性肺炎の治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K17241
研究機関名古屋大学

研究代表者

椙村 有紀子  名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (10778658)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード培養上清 / 乳歯歯髄幹細胞 / パラクライン因子 / 誤嚥性肺炎 / 嚥下障害モデル / マクロファージ
研究実績の概要

本研究の構想は、ヒト乳歯歯髄幹細胞(SHED)が分泌するパラクライン因子に含まれる嚥下障害改善に関係する因子を調べ、その因子群を嚥下障害モデルに適用し、治療効果について検討することである。
本年度は、動物実験を中心に研究を進めた。近年、上喉頭神経が嚥下を誘発する受容器を支配していることがわかっている。そのため、ラットの上喉頭神経を圧挫し、嚥下障害モデルが確立できるのか検証した。圧挫方法は、フォーセップスで10秒、10秒×2回、10秒×3回の3通りを行い、健常ラットと嚥下回数で比較検討した。結果は、10秒、10秒×2回では嚥下回数にばらつきがでてしまった。10秒×3回行うと嚥下回数にばらつきも少なく、健常ラットと比較し優位に嚥下回数が減少していた。この実験結果をうけて、ラットの上喉頭神経をフォーセップスにて10秒×3回圧挫を行いモデルを確立した。次に、培養上清(CM)の治療効果の検証を行った。上喉頭神経を圧挫後、CMを頸静脈より全身投与した。対照群には無血清DMEMを頸静脈投与した。嚥下回数は対照群と比較し、CM投与群では有意に増加していた。また、ピオクタニン希釈液を2分間摂水させ、摂水量や喉頭の染色域の面積を比較した。対照群と比較し、CM投与群では摂水量は有意に増加し、喉頭の染色域は有意に小さかった。これらのことより、SHED-CMの頸静脈投与は、嚥下障害の治療法となりうる可能性が示唆された。
産前産後休暇を取得したため10月から1月まで中断した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実験計画が遅れた最大の理由は、ラット嚥下障害モデルの作製方法の報告は少なく、確立するのに時間を要したことが挙げられる。また、産前産後休暇を取得したため一時実験を中断したため遅れが生じた。

今後の研究の推進方策

今後は、嚥下障害モデルに対する培養上清のメカニズムを検討する。具体的には、損傷を受けた神経の遺伝子学的変化をリアルタイムPCR法にて定量化する。遺伝子としては、炎症性サイトカインであるTNF-α、IL-1β、IL-6、抗炎症性サイトカインであるIL-10、TGF-βを考えている。肺の炎症変化についてもH-E染色で確認をする。
また、最適な培養上清の投与時期や投与量についても検討をする。
これらの結果をまとめて論文発表を行う。

次年度使用額が生じた理由

産休中、実験が行えなかったため次年使用額が生じた。
使用計画としては、動物実験、英文校正、論文投稿費に使用する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件)

  • [雑誌論文] Third molar pericoronitis in neutropenia2018

    • 著者名/発表者名
      Fumiya Kano、Norihisa Ichimura、Yukiko Wakayama、Kazuto Okabe、Hiroki Sakakura、Hideharu Hibi
    • 雑誌名

      IDCases

      巻: 13 ページ: e00419~e00419

    • DOI

      10.1016/j.idcr.2018.e00419

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Secretomes of mesenchymal stem cells induce early bone regeneration by accelerating migration of stem cells2018

    • 著者名/発表者名
      Ogata Kenichi、Osugi Masashi、Kawai Takamasa、Wakayama Yukiko、Sakaguchi Kohei、Nakamura Seiji、Katagiri Wataru
    • 雑誌名

      Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathology

      巻: 30 ページ: 445~451

    • DOI

      10.1016/j.ajoms.2018.04.002

    • 査読あり
  • [学会発表] 骨髄間葉系幹細胞が分泌するエクソソームによる新規骨再生法2018

    • 著者名/発表者名
      坂口 晃平、酒井 陽、椙村 有紀子、鶴田 剛士、渡邊 純奈、片桐 渉、日比 英晴
    • 学会等名
      第63回 日本口腔外科学会総会・学術大会
  • [学会発表] 間葉系幹細胞由来エクソソームを用いたBRONJに対する治療の有効性の検討2018

    • 著者名/発表者名
      渡邊 純奈、酒井 陽、岡部 一登、椙村 有紀子、坂口 晃平、鶴田 剛士、中道 瑛司、日比 英晴
    • 学会等名
      第63回 日本口腔外科学会総会・学術大会
  • [学会発表] Conditioned media from SHED enhanced peripheral nerve regeneration2018

    • 著者名/発表者名
      Yukiko Sugimura, Kiyoshi Sakai, Kohei Sakaguchi, Takeshi Tsuruta, Junna Watanabe, Wataru Katagiri, Hideharu Hibi
    • 学会等名
      The 96th General Sesseion and exhibition of the IADR
    • 国際学会
  • [学会発表] Effects of Mesenchymal stem Cell-derived Exsomes for Rat BRONJ Model2018

    • 著者名/発表者名
      Junna Watanabe, Kiyoshi Sakai, Kazuto Okabe, Yukiko Sugimura, Kohei Sakaguchi, Takeshi Tsuruta, Hideharu Hibi
    • 学会等名
      The 96th General Sesseion and exhibition of the IADR
    • 国際学会
  • [学会発表] Exosomes derived from mesenchymal stem cells enhanced bone regeneration2018

    • 著者名/発表者名
      Kohei Sakaguchi, Kiyoshi Sakai, Yukiko Sugimura,Takeshi Tsuruta, Junna Watanabe, Wataru Katagiri, Hideharu Hibi
    • 学会等名
      The 96th General Sesseion and exhibition of the IADR
    • 国際学会
  • [学会発表] ビスホスホネート関連顎骨壊死に対する間葉系幹細胞由来エクソソームを用いた治療の可能性2018

    • 著者名/発表者名
      渡邊 純奈、酒井 陽、岡部 一登、若山(椙村)有紀子、坂口 晃平、鶴田 剛士、日比 英晴
    • 学会等名
      第72回 日本口腔科学会学術集会
  • [学会発表] 骨髄由来間葉系幹細胞が分泌するエクソソームによる新たな骨再生2018

    • 著者名/発表者名
      坂口 晃平、酒井 陽、片桐 渉、若山(椙村) 有紀子、 鶴田 剛士、渡邊 純奈、日比 英晴
    • 学会等名
      日本再生医療学会総会 2018年3月21日

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公開日: 2019-12-27  

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