研究課題/領域番号 |
17K17241
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
椙村 有紀子 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (10778658)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 乳歯歯髄幹細胞 / 培養上清 / パラクライン効果 / 誤嚥性肺炎 / 嚥下障害モデル / マクロファージ |
研究実績の概要 |
誤嚥性肺炎の発症のベースとして嚥下障害が存在していると言われている。誤嚥性肺炎に対し口腔ケアや嚥下訓練が行われているが、有効な治療法や根本的な治療法はなく、新しい治療法の開発が求められている。本研究の目的は、乳歯歯髄幹細胞培養上清(SHED-CM)を嚥下障害モデルに適用し、治療効果について検討することである。 本年度は、ラット嚥下障害モデル対する最適な培養上清の濃度、投与時期、投与量の条件検討を行った。 始めに、濃度の検討をIn vitroでシュワン細胞の増殖能を比較することで行った。濃度は、希釈した50%、原液の100%、濃縮した150%の3群を設定した。結果は、100%の原液がシュワン細胞の増殖能が高く、これより培養上清には至適濃度があることが示唆された。次に、投与量の検討を行った。投与量は、0.5ml、1ml、2mlの3群に設定し、投与時期は上喉頭神経圧挫直後に固定をし、静脈投与を行った。この3群において1mlが至適量であった。続いて、投与時期について検討した。タイムポイントは、上喉頭神経圧挫直後、1日後、2日後、7日後の4点とし、投与量は1mlに固定した。結果は、上喉頭神経圧挫直後、1日後、2日後の間では差はなかったが、7日後に投与すると嚥下障害の改善がわずかに低下した。 これらの結果より、100%の原液を1mlを圧挫直後あるいは1、2日後に投与することが最適であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、嚥下障害モデル対する最適な培養上清の投与時期、濃度、投与量について検討をした。モデルの製作に時間を要するため、その後の解析が進まなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
網羅的なサイトカインアレイを行い、培養上清に含まれる嚥下障害改善に寄与していると考えられる因子の同定を目指す。次度は、最終年度のため結果をまとめ論文発表できるようにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症による影響で予定していた消耗品の購入が一部困難であったこと、予定していた国際学会に参加できなかったことが次年度使用額が生じた理由である。 今年度の使用計画としては、嚥下障害改善に寄与していると考えられる因子を同定するために、サイトカインアレイの費用、論文投稿の費用に充てる予定である。
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