前年度と同様に、ラットの眼窩下神経を結紮して、神経障害性疼痛モデルを作製した(CCI群)。神経結紮を除く同様の手術を行ったラットを対照群とした(sham群)。 神経結紮の14日後に、CCI群にドーパミン(DA)D2受容体拮抗薬haloperidol(CCI+haloperidol)、またはDAD1受容体拮抗薬SCH23390(CCI+SCH23390)、または生理食塩水(CCI+saline)を腹腔内投与した。その20分後に15gのフォンフライ毛で1Hz、5分間機械刺激を与え、2時間後に灌流固定した。脳幹の凍結切片を作製し、c-Fosに対する免疫染色を行い、三叉神経脊髄路核尾側亜核(Vc)に発現するc-Fos免疫陽性細胞数を顕微鏡下で計測した。CCI+haloperidolではCCI+SCH23390と CCI+salineに対して、Vcにおけるc-Fos免疫陽性細胞数が有意に増加した。 前年度はDAD1受容体作動薬SKF38393(CCI+SKF38393)、DAD2受容体作動薬quinpirole(CCI+quinpirole)を用いて同様の実験を行った。前年度と今年度の結果を総合すると、CCI+quinpiroleはCCI+saline、CCI+haloperidol、CCI+SCH23390、CCI+SKF38393に対して、Vcにおけるc-Fos免疫陽性細胞数が有意に低下した。また、CCI+haloperidolはCCI+saline、CCI+quinpirole、CCI+haloperidol、CCI+SCH23390に対してc-Fos免疫陽性細胞数が有意に増加した。以上から、眼窩下神経を結紮した作製した神経障害性疼痛モデルラットに対してDAD2受容体作動薬は機械刺激に対するアロディニアが抑制し、DAD2受容体拮抗薬はそれを増強することが示唆される。
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