研究課題/領域番号 |
17K17253
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部) |
研究代表者 |
久保薗 和美 独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (80750132)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | TMEM16E / ANO5 / LGMD2L / GDD / GDD1 |
研究実績の概要 |
TМEМ16Eは、一アミノ酸変異による形質獲得変異が優性遺伝形質として長管骨、上下顎骨に硬化性変化を示す家族性遺伝疾患の顎骨骨幹異形成症GDDの原因となる。また、遺伝子欠損型変異は劣性遺伝形質として上下肢帯部骨格筋に萎縮性の病変を示す家族性遺伝疾患の肢帯型筋ジストロフィーLGМD2Lの原因となる。 病理組織を用いた診断に免疫組織染色は非常に有効な手段であるが、現在までに組織染色において有効なTМEМ16E抗体は存在していない。本研究では高い信頼度で内在性TМEМ16Eタンパク分子を検出できる抗体の開発を目指している。申請者はラットを免疫動物として、リンパ節近傍へのTМEМ16E発現ベクター導入によって抗原を発現免疫させるDNA免疫法を実施し、免疫動物より採取したリンパ球をラット骨髄腫由来細胞と融合したハイブリドーマを多数ストックし、各種抗体アプリケーションにおいて高感度検出能力を示すモノクローナル抗体産生クローンの同定を試みている。マウス筋組織を用いたウエスタンブロットでは既存のどの抗体よりも強いシグナルを特異的に検出することが確認できた。本研究ではTМEМ16Eノックアウトマウス組織を陰性対象として野生型マウスの骨格筋組織の免疫組織化学染色に高い抗体価を示すクローンの選択を目的としており、マウス筋組織の免疫染色のプロトコルをこのハイブリドーマ由来のモノクローナル抗体を用いて確立したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本計画の単独申請者の所属機関が申請時のTМEМ16Eを発見した国立大学研究室から別期間である国立病院機構に異動したため、以前と同様の実験環境下で実験を行うことが不可能となった。前所属研究室の協力を受け、KOマウス同士での交配効率が低いTМEМ16E遺伝子改変マウスの組織の系統維持を含めた実験を再開できる体制を整えることに時間を費やした。
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今後の研究の推進方策 |
新規モノクローナルTМEМ16E抗体を用いて、各種組織切片上におけるTМEМ16Eの発現レベルを可視化したマウスの全身のTМEМ16E分布アトラスを作製する。また、各組織の細胞レベルでのミクロな細胞内局在を電子顕微鏡をによって可視化する。さらに本遺伝子の機能獲得型変異がもたらす顎骨骨幹異形成症GDDのモデルとなるGDD変異ノックインマウスのホモ型変異マウスを用いることでGDD変異型TМEМ16Eの全身分布アトラスを作製し、発現組織の表現型の解析に発展させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本計画の単独申請者の所属機関の変更により以前と同程度の規模の研究を継続することが困難となっているため、予定していた使用額を下回る結果となったが、今年度は遅れを取り返すべく前年度以上に研究を進行させる。
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