本研究ではCa2+透過性のTRPチャネルによる口腔癌制御機構の解明と治療応用について検討した。TRPV4高発現細胞株であるHSC4は、低発現細胞株と比較しTRPV4アゴニスト刺激で顕著で持続的な細胞内Ca2+濃度上昇を認めた。HSC4-siTRPV4ではTRPV4低発現細胞株と同様に細胞内Ca2+濃度上昇が抑制され、細胞死やJNK、p38のリン酸化も抑制された。また、HSC4-siTRPV4ではHSC4-siCTRLと比較しEMT関連転写因子の発現に差はなかったが、細胞間接着分子が減弱し、移動能が亢進した。以上より、TRPV4の機能調節は口腔癌に対する新規の治療法になりうることが示唆された。
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