研究課題/領域番号 |
17K17287
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
栗林 恭子 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教(病院教員) (60579952)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 脂肪細胞分化 |
研究実績の概要 |
インスリン抵抗性改善能を有するアディポカインであるD-dopachrome tautomerase(DDT)は、ヒト前駆脂肪細胞に作用して脂肪細胞への分化を抑制するが、マウス前駆脂肪細胞においては効果が認められず、その発現様式もヒトとマウス間で異なる。その他、ヒトとマウスで作用・発現が異なるアディポカインや、ヒト特異的脂肪細胞分化機序が報告されており、従来のマウスモデルを用いた肥満研究はヒトへの臨床応用に必ずしも直結するとは限らない。本研究では、まずヒトおよびマウスに特異的な前駆脂肪細胞遺伝子、脂肪細胞遺伝子、脂肪細胞分化関連遺伝子を同定するため、ヒトおよびマウスの前駆脂肪細胞の初代培養系を用い、脂肪細胞分化過程で発現変動する遺伝子を経時的にマイクロアレイにて解析した。結果、ヒトでは脂肪細胞分化を制御する転写因子であるC/EBPα、C/EBPβ、PPARγの発現上昇を認めたが、マウスでは認められなかった。一方、C/EBPδの発現は、マウスで増加が認められた。また、ヒト特異的に脂肪細胞分化を促進すると報告されているLMO3の発現においても、ヒト特異的に発現が認められ、特に分化初期段階での発現が多いことが示された。以上の結果より、ヒトとマウスでは脂肪細胞分化機序が異なる可能性が示唆された。 本研究成果は、ヒト特異的肥満研究の新たなアプローチとして利用でき、肥満関連メタボリックシンドロームの予防・治療へと発展させていく基盤を構築するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の異動に伴い、研究開始の準備に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロアレイ解析で明らかになった候補のヒト特異的脂肪細胞分化遺伝子をRT-qPCRにて解析し、候補遺伝子を絞り込む。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究がやや遅れているため。 本年度は、研究に必要な試薬、器具、解析ソフト等を購入予定である。
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