研究課題/領域番号 |
17K17294
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
岩田 潤 日本大学, 歯学部, 助教 (20757629)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 骨造成 / 人工骨 / 生体材料 / 再建 |
研究実績の概要 |
本研究では生体組織である骨膜、軟骨と安全性の担保された人工材料を用いて、顎骨再建に適したハイブリッド型硬組織再建材料の臨床応用の可能性を検討する。各種成長因子などの生理活性物質を使用することのない新たな顎骨再建方法の開発が期待できる。 生体組織(軟骨、骨膜)、安全性の担保された人工材料(TB、PureMatrix)を用いたハイブリッド型材料による上顎骨骨造成モデルラットを作製し、放射線学的に水平的かつ垂直的な骨造成の経時変化を観察し、さらに4週、8週、12週に機械的強度測定および組織学的解析を行い、各種成長因子などの生理活性物質を使用することなく生体内組織と人工材料を用いたハイブリッド型再建材料の有効性について検討する。 平成29年度では、「骨造成材料の検討」、「生体内組織と人工材料のハイブリッド型再建材料の検討」について放射線学的な骨造成の経時的変化を観察した。生体内組織(軟骨、骨膜)および安全性の担保された人工材料(TB、PureMatrix)を用いた上顎骨骨造成モデルラットを作製し、放射線学的に水平的かつ垂直的な骨造成の経時変化を観察した。12週でTBモデルでは人工骨周囲に新生骨による骨増生がみられたのに対し、TB+PureMatrixモデルでは、ラット肋軟骨から採取した軟骨モデルでは軟骨の骨接合が確認できなかったため採取軟骨を細片状にした軟骨細片モデル、軟骨細片+PureMatrixモデルを作製し骨造成過程を観察している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度の「骨造成材料の検討」、「生体内組織と人工材料のハイブリッド型再建材料の検討」の軟骨、人工材料それぞれ単体、加えて軟骨+人工材料の造成モデルでの組織学的検討において、硬組織であるゆえに切片の作製に時間を要しており組織学的評価が途中段階である。引き続きさらなる時間が必要であるため当初の計画よりやや遅れている。骨膜に骨形成能が有ることはすでに証明されている事柄であり、再建手術において骨造成が得られる可能性は非常に高く、各種人工材料および生体内組織の中に確実な骨造成量の増加が認められる物が判明すれば、再建用移植組織・骨造成材料として用いられる可能性は高い。現在、放射線学的な骨造成の経時的変化の観察、組織学的検討と合わせてハイブリッド型再建材料の構成について、またより賦形性の高い造成を見据えた各骨造成材料の適正量について探索している最中である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き骨膜、軟骨といった生体内組織と人工材料であるTB、PureMatrixを組み合わせてハイブリッド型再建材料を作製し、単体における骨造成量との比較を行い、どのハイブリッド型が、より再建材料として有用か探索する。また顎骨再建において咬合の機能回復ならびに審美性の確保のためには骨造成した部位の賦形性および機械的強度が重要である。そのハイブリッド型再建材料で行った骨造成後12週以降の長期的経時変化の観察放射線学的評価によって行う。賦形性の高い骨造成様式・方法を探索するためにウルトラチタンメッシュ、ミニインプラントスクリューの利用を検討しており、骨造成後に十分に機械的強度が確保されるかについて、チタンメッシュを用いた場合とそうでない場合とを比較検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験機材、薬品、人工材料の購入額が予定より安く済んでいる。予定していた組織切片の作製が途中であり、その標本作製に係る研究費が残額として残ったため次年度使用額が生じている。 次年度への繰越金は、平成30年度の助成金と合わせて、ハイブリッド型再建材料モデルの作製で実験動物代として200,000円、実験材料および薬品代として400,000円を用いる。組織切片の作成業務委託費として500,000円を用いる。国内における成果発表・研究打ち合わせ・学会参加費として200,000円を用いる。
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