本研究では生体組織である骨膜、軟骨と安全性の担保された人工材料を用いて顎骨に適したハイブリッド型硬組織再建材料の臨床応用の可能性を検討する。各種成長因子などの生理活性物質を使用することのない新たな顎骨再建方法の開発が期待できる。 生体組織である軟骨、骨膜、加えて人工材料であるtetrabone、PureMatrixを用いたハイブリッド型材料による上顎骨骨造成モデルラットを作製し、放射線学的に水平的かつ垂直的な骨造成の経時的変化を観察し、さらに4・8・12週の骨造成の組織学的解析を行い、再建材料の有効性について検討した。 骨造成後の骨組織経時的変化の検討において経時的な放射線学的観察ではTB単体、細片軟骨単体、TB+PureMatrix、細片軟骨+PureMatrixの骨造成モデルで12週において人工骨、生体材料周囲に骨新生と思われる不透過像がみられたが、組織学的観察では、PureMatrixを混合した骨造成モデルよりTB単体、細片軟骨単体をそれぞれ埋入して作成した造成モデルで材料周囲の骨新生が多くみられた。また細片軟骨モデルでは軟骨の一部骨化がみられた。PureMatrixの結合組織化はみられるものの母骨上および造成材料周囲に留まることができず明らかな骨新生に至らなかったと考える。 ラット顎骨骨造成において垂直的な骨造成を確実なものとするため賦形性の付与を目的としたウルトラチタンメッシュ・チタンスクリューの使用を検討し実験を行ったが、術野におけるメッシュ・スクリューを含めた創部被覆の困難さ、術後感染などの問題点が挙げられた。ハイブリッド型硬組織再建材料の開発に向けて顎骨欠損を作製し再度メッシュ・スクリューを併用した骨造成モデルを今後検討する予定である。
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