研究課題/領域番号 |
17K17297
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
中原 賢 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (20610257)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 歯学 / 歯科用インプラント / 垂直的歯槽骨造成 / 人工骨補填材 |
研究実績の概要 |
歯科インプラント治療において、垂直的歯槽骨欠損に対しての骨造成方法や骨移植材の選択は非常に大きな問題である。現在、自家骨移植が垂直的骨欠損部位に対する治療の中心であるが、自家骨採取に関する欠点を補うため、ブロック型の人工骨移植も注目されている。しかしながら、ブロック型人工骨に関する情報は多くない。そこで本研究では、ブロック型人工骨補填材の有用性を検証するため、α型リン酸三カルシウム(α-TCP)、β型リン酸三カルシウム(β-TCP)にハイドロキシアパタイト(HAp)を補強材として混合したブロック型の人工骨補填材を用いて、垂直的な骨欠損症例に対しての人工骨ブロックの至適サイズを検討することとした。29年度は、そのための動物モデルを以下のように作製した。 10か月齢のビーグル犬6匹(平均12.3kg)を用いて、すべての両側下顎前臼歯と第一後臼歯を抜去し、3か月の治癒期間経過後、抜歯部位に片側2箇所の垂直的骨欠損を作製した。これまで直径約8mm、深さ約5mmの歯槽骨欠損モデルを用いた研究を行ってきたため、その結果と比較することを考慮し、本研究では、ほぼ同様の直径で深さを約2/3(3.5 mm)、1/3(1.5 mm)とした2種類の骨欠損を作製した。これらの骨欠損部に、欠損部と同サイズのα-TCP+HAp、β-TCP+HApのブロックを挿入した。 今年度は、以上のように、深さの違う2種類の骨欠損に対しての人工骨補填材の有用性を検証する実験を具体的に計画し、動物モデル作製までを行った。次年度は、骨造成後6か月で安楽死させ、採取した試料のマイクロCT撮影および組織学的観察のための試料作製を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、垂直的歯槽骨欠損に対して、ブロック型骨移植材の有用性を詳細に検証するため、前述のように骨造成した動物実験モデルを作製した。概ね予定通りに研究は進んでいるが、ビーグル犬入手の手続きが若干遅れ、次年度に試料を採取することとなったため、このように判断した。
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今後の研究の推進方策 |
骨造成後6か月で安楽死させ、試料を採取する。その際に、骨のリモデリングを確認するため、安楽死3週前にアリザリンレッド、1週前にカルセインの2種類の骨ラベリング剤を生体内投与する。採取した試料は固定後、マイクロCT撮影を行う。その後、試料を樹脂包埋し、作製した研磨切片を用いて、組織学的に観察する。その際、組織形態計測も行い、厚みの違う2種類の材料の骨移植部位内部における新生骨や残存している骨移植材の観察、移植部位周囲の組織変化を検討する。また、マイクロCTのデータから、骨量や骨密度などを解析し、組織形態計測の結果との照合も行う予定である。垂直的骨欠損に対しての、サイズの異なる2種類のブロック型人工骨補填材の比較検討を行うことで、それぞれの人工骨ブロックを使用したインプラント治療のための骨造成への指標となる情報を得たいと考えている。 さらに次年度は、国際学会での発表、国際誌へ投稿を見据え、研究結果をまとめるための解析を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 今年度は、研究を始めるにあたり、有用な情報を得るために必要と思われる研究計画を綿密にたてた結果、動物数や物品の購入に若干の変更が生じた。また、動物モデルの作製のために研究費を使用したが、安楽死と解析は次年度以降としたため、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 今年度は、動物モデルの作製まで行った。次年度から、マイクロCT撮影および解析、研磨切片を用いた詳細な組織学的観察や組織形態計測を行う。これらのマイクロCTや組織学的解析を進めるために必要な物品の購入や有益な情報や助言を得るための学会発表のために、次年度研究費を使用する。
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