垂直的な歯槽骨欠損部位に歯科インプラント治療を行う際に骨造成が必要になるが、その方法の確立には至っていない。骨造成のための自家骨移植が用いられることが多いが、自家骨採取に関する欠点を補うため、ブロック型の人工骨移植も注目されている。本研究では、2種類のリン酸カルシウム系のブロック型骨補填材を用いて骨造成を行い、これらの人工骨ブロックの至適サイズを検討することとした。 そのため、ビーグル犬6匹を用いて、これまで以下のような実験を行った。まず、下顎の両側前臼歯と第一後臼歯を抜去し、3か月の治癒期間の後、トレフィンバーを用いて、抜歯部位に2種類の骨窩洞(直径7.5-8 mm、深さ約1.5 mmまたは約3.5 mm)を形成した。骨造成のために、窩洞と同程度のサイズの2種類のブロック型骨補填材(α型リン酸三カルシウムにハイドロキシアパタイトを補強材として混合したブロック型骨補填材とβ型リン酸三カルシウムにハイドロキシアパタイトを混合したブロック型骨補填材)を移植した。安楽死の1、3週前にカルセインとアリザリンを投与し、骨造成後6か月で安楽死させた。移植部位とその周囲を採取し、マイクロCT撮影後、樹脂包埋し、研磨切片を作製した。本年度はカルセインとアリザリンを用いた骨ラベリングの詳細な撮影を行った後、切片にトルイジンブルー・塩基性フクシン染色を施し、組織観察を行った。 組織学的観察では、ラベリングにより移植部位の周囲や内部における骨形成や骨リモデリングが確認できた。また、トルイジンブルー・塩基性フクシン染色を施すことで、より詳細な移植部位と周囲の組織が明示され、骨が形成されている部分や骨補填材が残存している部分がみられた。現在、論文作成に向けて、マイクロCT解析、組織解析を進め、結果をまとめている。今後、さらに考察を深め、国際誌へ投稿する予定である。
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