研究課題/領域番号 |
17K17300
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
大郷 英里奈 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (50707073)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 神経障害性疼痛 / 低反応レベルレーザー治療 / うつ病 / 下歯槽神経損傷 |
研究実績の概要 |
神経障害性疼痛は難治性の慢性疼痛が長期化するとうつ病を併発する可能性が高い。現在、この治療では三環系抗うつ薬を代表とする薬物療法が第一選択となるが、うつ病を併発した神経障害性疼痛の場合においては投与量が多く、服用期間も長期に及ぶため、悪心やふらつき等の副作用の出現するリスクが非常に高くなるという数多くの臨床報告がある。 近年、臨床において難治性の慢性疼痛緩和にはレーザー装置を使用した低反応レベルレーザー治療(Low reactive Level Laser Treatment;LLLT)が有効であると言われている。しかし、LLLT による疼痛緩和効果に関する基礎的研究はほとんどない。本研究の目的はLLLT による疼痛緩和効果の神経化学的機序を明らかにし、簡便で副作用のない治療法を確立することである。 平成29年度は下歯槽神経障害モデルラットを用いて行動学的検討を行ったところ、LLLT照射群はLLLT非照射群と比較して有意に疼痛閾値の上昇を認めた。 さらにまた神経損傷後に即座に修復機構として働くマイクログリアやアストロサイトなどのグリア細胞について免疫組織学的検討を行った。今回使用したモデルラットに神経損傷させた翌日から1週間連続でLLLTを照射を行い、そのLLLT群とLLLT非照射群と比較検討を行ったところ、マイクログリア陽性たんぱくであるIba1とアストロサイト陽性たんぱくであるGFAPの発現がLLLT照射群において増加していることが認められた。この発現増加が、グリア細胞数の増加によるものか、またはグリア細胞の細胞体の肥大によるものであるのかは現在定量を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は度は神経障害性疼痛モデルラットの行動学的検討を行う予定であったが、当初の計画より実験が順調に進んだことにより、今年度予定していた免疫組織学的検討に着手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた研究計画はおおむね順調に進展しているが、今後は免疫組織学的検討において、神経障害性疼痛発症の抑制に関与しているとみられる抗炎症性サイトカインであるIL-4やIL-10や神経障害性疼痛の発症に関与しているとされる炎症性サイトカインであるIL-1βやIL-18の発現動態を観察していく予定である。また得られたデータを分析し論文作成の準備を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は行動学的検討とグリア細胞の発現動態を免疫組織学的検討を行った。今後抗炎症性サイトカイン、炎症性サイトカインの発現動態を免疫組織学的に確認していく予定である。
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