研究課題/領域番号 |
17K17302
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
原田 佳和 産業医科大学, 大学病院, 専修医 (70744100)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | SCC / CAF / G-CSF |
研究実績の概要 |
舌扁平上皮癌(SCC)の切除組織を47例使用し免疫染色を行った。染色性は浸潤先端部で評価した。CAFのマーカーであるα-SMA発現を間質の線維芽細胞で確認し、同部でG-CSF陽性線維芽細胞数を計測、および腫瘍細胞のG-CSF Receptorの染色強度を評価して、その結果と対象者の臨床病理学的因子との関連を統計解析した。【方法】1.CAF産生G-CSFによる舌SCCの悪性度への関与を検討するため、「G-CSF陽性CAF数」によって対象をG-CSF Low群とG-CSF High群に分類し、臨床病理学的因子との関連を統計解析した。2.腫瘍細胞のG-CSFR発現との関連を検討するため、対象を「G-CSF High群/G-CSFR 強発現」群と「その他」の群に分類し、臨床病理学的因子との関連を統計解析した。 【結果のサマリー】 1.腫瘍の浸潤先端部におけるG-CSF陽性CAFの細胞数は、腫瘍の深達度が深くなるにつれて有意に多かった。2.G-CSFRの腫瘍実質での発現強度は上皮内腫瘍では弱く、浸潤部では強い傾向がみられた。3.G-CSF High群は、G-CSF Low群に比べて有意に、内向性で、浸潤様式が悪くて深達度が大きく、リンパ管浸潤が多かった。4.「G-CSF High群/G-CSFR 強発現」群は、「その他」の群に比べて有意に、内向性で、腫瘍径と深達度が大きく、リンパ管浸潤が多かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに、免疫染色結果と臨床病理学的因子との関連についての解析を完了でき、G-CSFによる舌SCCの悪性度への関与を統計的に立証できた。しかしながら、適切な免疫染色条件を設定するのに予想以上の時間を要した結果、実験計画がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果からG-CSFが腫瘍細胞の悪性度へ影響しており、実質と間質の双方から産生されるG-CSFが影響すると考えられる。その影響度は、腫瘍細胞のG-CSFRの発現によって変化する可能性があるので、今後はin vitroでG-CSFR発現による影響の検証を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫染色による実験に時間を要したため、今年度に予定していたin vitroの実験が遅れた結果、未使用額が生じた。 進捗はやや遅れてはいるが予想通りの実験結果を得ている。計画した順序に沿って実験を進めるので、次年度に当初から予定していたin vitroの実験を行う。 これまでの免疫染色の結果からG-CSFが腫瘍細胞の悪性度へ関与しており、その影響度は、腫瘍細胞のG-CSFRの発現に影響を受ける可能性が高い。従って、in vitroにおけるG-CSFR発現による悪性度の変化についての検証を計画している。
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