研究課題
近年、現代病として生活習慣病が問題視されてきている。その中の一つに肥満がある。肥満のメカニズムの一つとして脂肪細胞が活性化して肥大や増殖をすることが挙げられる。最近の研究で、脂肪細胞は、破骨細胞の形成に関連することが分かってきた。また、脂肪細胞が発現している CXCL12 は破骨細胞の形成を促進することが新しく発見された一方、矯正学的歯の移動は歯槽骨のリモデリングにより歯の移動が起こる。このリモデリングには破骨細胞による骨吸収が重要な役割を果たしている。これらのことから肥満の患者に矯正治療を行った際に矯正学的歯の移動に影響が出る可能性がある。そこで本研究では、脂肪細胞が分泌する CXCL12 の破骨細胞形成および矯正学的歯の移動に対する関連性を調べるのが目的である。現在、in vitro にてマウスの大腿骨から採取した骨髄細胞に CXCL12 を投与すると破骨細胞への分化を促進することを確認した。さらに、骨髄細胞から作成したストローマ細胞に CXCL12 を加えて培養し、ストローマ細胞での TNF-α、 RANKL の遺伝子発現量をreal-time PCR法を用いて定量的に測定した。次に、in vivoにてマウスの頭蓋部へ、LPSとCXCL12を5日間連続投与を行った後、頭蓋骨を採取し、CT撮影を行い骨吸収量の増加、頭蓋骨の切片を作成し破骨細胞の増加を確認。さらに、頭蓋骨でのTNF-α、RANKLの遺伝子発現量をreal-time PCR法を用いて定量的に測定した。
2: おおむね順調に進展している
概ね計画通りに進んでいる。
今後、マウスに麻酔下で矯正装置を取り付けCXCL12の投与による歯の移動の解析を行っていく。また、CXCL12の主なレセプターであるCXCR4のインヒビターであるAMD3100、また同様にCXCL12のレセプターであるCXCR7のインヒビターであるCCX771を投与し、CXCL12/CXCR4とCXCL12/CXCR7の矯正的歯の移動への寄与を比較検討する。
物品購入時の予定額からの値引きによる残額。来年度併せて使用予定。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件)
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