研究課題/領域番号 |
17K17307
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金原 正敬 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (00637960)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 骨 / 力学刺激応答 / フォーカルアドヒージョン / アドへレンスジャンクション |
研究実績の概要 |
骨細胞と骨芽細胞は、骨系細胞の活動を調節するメカノセンサーとして機能する。近年、細胞骨格アクチンと連結する細胞-細胞外基質間接着装置Focal adhesion (FA)および細胞-細胞間接着装置Adherens junction (AJ)の力学センサーとしての機能が明らかにされつつあり、骨の力学刺激応答機構においてもFA、AJが重要に関わるものと予測されるが、その詳細は不明である。また、骨細胞-骨芽細胞による密な細胞間ネットワーク構造から、感知した力学刺激を周囲細胞へと伝搬する機構が存在するものと推測されるが、その詳細も不明である。本研究では、原子間力顕微鏡(AFM)を応用した新規細胞刺激系を用いて、骨細胞・骨芽細胞における力学刺激感知伝搬機構を解明するとともに、本機構におけるFA、AJの機能および相互作用を解析する。本年度は、マウス頭蓋骨より単離したプライマリー骨細胞、骨芽細胞におけるFAおよびAJ構成分子の発現・分布について解析し、また、AFM細胞刺激システムを用いて、これらの細胞の力学刺激感知・伝搬性についてカルシウム応答を指標に検討した。その結果、プライマリー骨細胞および骨芽細胞におけるFAおよびAJ構成分子の発現・分布パターンを観察するとともに、これらの細胞において、各々の力学刺激負荷部位によるカルシウム応答性の違いを認めた。また、力学刺激負荷細胞のみならず、周囲細胞でもカルシウム応答を認め、一連の伝播パターンを観察した。現在、これらに関して、さらなるデータ収集および解析を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
力学刺激応答に伴うビンキュリンの動態解析についても本年度行う予定であったが、AFM細胞刺激システムを用いた骨細胞・骨芽細胞の力学刺激感知・伝搬性の解析に予想以上の時間を要し、本年度内での実施ができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の研究実績を踏まえ、実施されていない研究課題について、研究計画通りに遂行する。骨細胞・骨芽細胞における力学刺激応答に伴うビンキュリンの動態解析、これらの細胞でのFA・AJ機能調節条件における力学刺激応答性・ビンキュリン集積の解析を実施し、骨細胞・骨芽細胞における力学刺激感知伝搬機構、および本機構におけるFA、AJの機能および相互作用について解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初目標に対する研究の遅れに伴い、実施できなかった課題に関する本年度使用予定額の一部を次年度に繰り越すこととした。本年度に実施できなかった課題については次年度研究計画に追加して遂行し、当該課題の実施に繰り越し助成金を充てる。
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