研究課題/領域番号 |
17K17308
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
布目 祥子 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (60758184)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 生体適合性 / 耐食性 / ニッケルフリー / 生体材料 / 形状記憶 |
研究実績の概要 |
形状記憶合金は超弾性および形状記憶という特性をもち、形状回復温度を体温付近に設定できるため生体内での使用が可能である。そのため、卓越した医療用生体材料として多岐に渡って利用されており、その使用領域は今もなお拡大している。しかしながら、ニッケルを含有することに起因するアレルギー性、発癌性、そして耐食性の低下が問題とされる研究報告がある。 そこで本研究ではニッケルなどの生体為害性の高い元素を含まず、生体材料としての実績があり、生体安全性の高い金属元素から構成される新しい超弾性形状記憶合金を開発し、新合金の臨床応用実現へ向け、医工学的手法を用いて、多角的に検討を行うことを目的とした。開発した4元系合金Ti-Mo-Sn-Zr(以下、TMSZと略記)は、この組成において世界で初めて超弾性を示すことに成功した合金である。 既に新合金TMSZの材料特性評価を実施し、チタンと同等の生体適合性を有することについては明らかにし、論文発表(Nunome et al. J pf Biomater Appl. 2015)を行った。 現在はアノード分極試験、SEM,XRD,XPSといった一連の耐食性試験を実施し、得られた成果を学会発表した。本年度ではさらに耐食性実験の安定した結果を得ることを目的としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までの状況として、平成29年度の研究計画予定である耐食性試験を実施している段階である。そのため、同年度のそれに継続する研究項目である機械的特性評価の曲げ試験および引張試験に取り組めておらず、研究の進捗状況としては遅れてしまっているのが現状である。 現在、研究機関において非常勤勤務となっているが、研究に携わる時間を確保し、また研究体制も専門分野の研究者との連携をとり、実験手技の安定や実験行程について効率化を図れるように努めるべきと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、現在進行している耐食試験について、安定した結果を得て、確実に結果をまとめることを第一とする。それを遂行し、次の段階として機械的特性評価である3点曲げ試験(材料の曲げに対する強さおよび変形の評価)や引張試験(材料強度の測定)、疲労特性評価として疲労試験(JIS T 0309に沿って、繰り返しかかる応力による破壊亀裂の進行速度をS-N曲線を算出し、評価する)を進めることで、本合金についての材料特性評価を完成させることを平成30年度の目標とする。 実験の進捗が難航した場合には、専門分野の先生へ適宜相談し、停滞期間を少しでも短くするように努めていきたい。
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