研究課題
関節リウマチや感染などによる病的骨吸収は、TNF-αが主に関与しているものだと考えられている。一方、生理的な骨吸収に関しては骨細胞がRANKLを発現し、破骨細胞形成を誘導していることが新しくわかった。しかし、TNF-αによる破骨細胞形成に対する骨細胞の働きを調べた報告は未だないのが現状である。そこで本研究は、骨細胞へTNF-αを作用させ炎症性の破骨細胞形成がどのような影響を受けるのかin vitroおよびin vivoで検討しそのメカニズムを解明することを行った。まずTNF-αによる骨細胞刺激に対する RANKL発現のin vitroによる解析を行った。骨細胞がGFPにより蛍光するC57BL/6-Tg(Dmp1-Topaz)1Ikal/Jマウスより頭蓋骨を採取してFACSにて骨細胞を単離し、TNF-αの存在下で培養を行いRANKLの発現をリアルタイムPCRにて解析した。TNF-αの骨細胞刺激によりRANKLが増加することがわかった。また、TNF-αによる骨細胞刺激に対する破骨細胞形成因子(RANKL)発現のin vivoによる解析を行った。WTマウスの頭蓋部にTNF-αを注入し、mRNAを抽出しRANKLの発現をリアルタイムPCRにて解析し、RANKLの発現を確認している。また、TNF-αによる骨細胞の細胞内シグナル伝達の解析を行い、TNF-αでの骨細胞刺激でMAPKsのリン酸化が進むことがわかった。また、骨細胞とTNFRs遺伝子欠損マウスからの破骨細胞前駆細胞との共培養を行うとTNF-αを作用させると破骨細胞が誘導され、骨細胞のTNF-αによる破骨細胞形成への関与があることがわかった。さらに、歯の移動によるTNF-αの骨細胞刺激に対するRANKL発現への影響をTNFRs遺伝子欠損マウスとWTマウスとで比較したところ、TNFRs遺伝子欠損マウスでRANKLの発現が減少した。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
J. Immunol. Res.
巻: Volume 2018 ページ: ID 5783639
doi.org/10.1155/2018/5783639