今年度は下記の実験を予定していた。 1. 週齢によるMkx発現量の変化…4週、10週、6か月および12か月齢において野生型マウスを用いて歯根膜のMkx発現量を比較検討。6か月齢以上のマウスに関しては予備実験で安定した結果を得ている凍結粉砕の手法を用いてRNA抽出を行う。マウスの加齢 (に伴う歯根膜の成熟) とMkx発現量の相関関係から近似曲線を作成し、欠損マウスの加齢に伴う表現型発症の理解の一助とする。その後、Mkxのヒトへの応用を見据え、Mkx欠損ラットを用いて矯正力を歯に加える実験を本実験として行う。 2. Mkxと関連遺伝子発現の局在比較…Mkxとの関連が疑われる候補遺伝子について、Mkx欠損マウスの歯根膜の免疫多重染色にてMkxと関連遺伝子各々の発現局在を比較する。Mkx欠損マウスにおけるMkx発現部位の確認は抗GFP抗体を用いて検討 (欠損マウスはMkx遺伝子にGFPをノックインしてMkxの機能を喪失させている)。 3. Mkx欠損ラットを用いた矯正学的歯の移動実験…8週齢の野生型およびMkx欠損ラットの前歯と第一臼歯を矯正用コイルを用いて互いに牽引するように口腔内に接着し両群ラットの歯の移動距離を経日的に14日目まで観察。その後屠殺を行いμCTにて歯の移動様相を解析。組織学的観察および免疫染色による遺伝子発現変動も確認する。
しかしながら、3の実験の予備実験の段階で、ラットの歯の組織学的解析の手法が難しく、時間を要してしまった。また研究代表者の病院退職に伴い、今後の実験の継続が難しくなった。
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