現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、昨年度作成した下顎頭変形モデルの表現型解析の継続と、細胞間シグナル伝達の検討を行った。リアルタイムPCRから炎症性サイトカイン(Il-1α, Il-1β, Tnf-αならびにIl-6)の遺伝子発現レベルは高値であり、モデルマウスは炎症性のOAを呈する事が明らかとなった。さらに、蛍光免疫染色にて、エストロゲン受容体αおよびERKの発現が増加していた。以上の結果から、力学的負荷とエストロゲン欠乏状態はエストロゲン受容体αの発現を増加させ、その下流であるERKシグナルを亢進することで破骨細胞形成が促進され、下顎頭軟骨下骨梁の減少および軟骨層の菲薄化に寄与するのではないかと推察された。下顎頭変形モデルの実験系成立の確認がなされたため、下顎頭から抽出したRNAを用いて骨代謝関連遺伝子の発現レベルについてリアルタイムPCRを行ったところ、SOST, Wnt5a, Ctnnb1の発現に変動が見られた。この事から、モデルマウスの下顎頭において骨細胞を介した骨代謝関連因子が力学的負荷ならびにホルモン量の変化によって変動し、表現型に関与した事が示唆される。本年度は、昨年度までに作成したモデルマウスの解析を行い、研究結果を国際学術誌であるArchives of Oral Biologyに発表する事ができた。
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