研究課題/領域番号 |
17K17320
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡 綾香 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (20635403)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 顎顔面形成不全 / 口唇口蓋裂 / レチノイン酸シグナル / アルコール |
研究実績の概要 |
口唇口蓋裂をはじめとする顎顔面形成不全の原因の一つに、顎顔面発生時の骨形成異常が挙げられる。その骨形成異常に起因する遺伝子変異の多くは、近年のヒトゲノム研究やスクリーニング等より同定されている。しかし、これまではそれぞれの要因を個別に解析している報告が多く、各因子の相互作用については未だ不明な部分が存在する。そこで、本研究では、口唇口蓋裂の遺伝的要因であるRdh10の変異と環境的要因であるアルコールの相互作用による顎顔面形成や骨形成における役割の解明を目的としている。本年度の研究では胎生時期のマウスにおいてRdh10をノックアウトする時期とアルコールを投与する時期の条件を変えてそれぞれの因子が必要な時期の同定を試みた。その結果、Rdh10のノックアウトを胎生8.5日以前に行った場合や、アルコール投与を胎生12.5日付近で行った場合において、口蓋裂等の顎顔面形成不全の症状が重症となる事を見出した。また、これらの条件を同時に作用させた場合は、単独条件よりも著しく症状が重篤となる事を見出した。この事は胎生時期特異的なRdh10の低下とアルコール暴露は相互作用を起こしている事を示唆する結果である。更にレチノイン酸シグナルと顎顔面形成不全の相互関係を調査する一環として妊娠マウスにレチノイン酸を投与し口蓋裂を誘発する実験系を用いて細胞学的、分子生物学的な解析を進めている。現在までにレチノイン酸投与群では胎生9日胎児において頭部神経堤細胞の細胞増殖、細胞死共に減少する等の挙動の変化や二次口蓋の挙上などの動態に変化が認められる事を見出している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度までにRdh10の低下とアルコール暴露の胎生時期特異的な表現形を確認した。本年度までに遺伝子発現解析を行う予定であったが、Rdh10のノックアウト時期やアルコール暴露の時期の条件設定に想定より長期間を要した。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度までに胎生8.5日でRdh10をノックアウトし胎生12.5日にてアルコールを投与した個体がより強い顎顔面形成不全の表現形を示す事を見出したため、今後はそのサンプルを増やして組織学的、分子生物学的解析を行い、これらの相互作用の詳細なメカニズムを解明する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究計画において次年度に必要な経費が当初より増えたため
|