研究課題
顎顔面の発生には、様々な顔面突起の適切な成長及び癒合が必要不可欠である。異常な顔面突起の成長や癒合、骨形成の異常は顎顔面形成不全の原因となり、その中でも口唇口蓋裂は比較的高頻度で発生する疾患である。我が国における口唇口蓋裂の発生率は 1/500 と諸外国より高い事が知られており、患者は発音、咀嚼等の機能障害や審美障害を伴い著しい Quality of Life (QOL)の低下を来たす。そのため、口唇口蓋裂の発生機序の解明は臨床にとって非常に重要である。近年のヒトゲノム研究やスクリーニング等より、多くの骨形成に関する遺伝子変異が同口唇口蓋裂の患者においても同定されている。同時に、口唇口蓋裂は遺伝的要因と共にアルコールや喫煙等の環境的要因も影響する多因子疾患であることも証明されている。しかし多くの研究はそれぞれの要因を個別に解析しているものが多く、多因子疾患の特徴である各因子の相互作用については未だ不明な部分が多く存在する。そこで本研究では、口唇口蓋裂の遺伝的要因であるRdh10の変異と環境的要因であるアルコールの相互作用による顎顔面形成や骨形成における役割の解明を目的とした。その結果、Rdh10のノックアウトを胎生8.5日以前に行った場合や、アルコール投与を胎生12.5日付近で行った場合において、口蓋裂等の顎顔面形成不全の症状が重症となることを見出した。また、これらの条件を同時に作用させた場合は、単独条件よりも著しく症状が重篤となることも明らかになった。これらの結果は、胎生時期特異的なRdh10の低下とアルコール暴露が口蓋裂の発生に相互作用を起こしていることを示唆するものである。
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orthodontic waves
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Skeletal Class II open-bite malocclusion with idiopathic condylar resorption: A case report
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