Down症候群は染色体異常の中では疫学的に最も発生頻度が高い。臨床的には齲蝕罹患率は低いが、歯周疾患は発症しやすい。そのためDown症候群に関連した歯周疾患に関連したサイトカインネットワークを解析することにより、歯周疾患に対する新たな治療法の開発を目標としていた。 しかし、Down症候群の歯肉細胞株ができなかったため、全身投与の薬物により誘発される歯肉増殖症に注目した。歯肉増殖症は清掃不良になりやすく、清掃不良により症状はさらに増悪する。薬物性歯肉増殖症は歯科的には外科的歯肉切除しか治療法がなく、口腔内管理がかなり難しい。その分子メカニズムの解明により、局所的な治療法を探ることが可能となる。
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