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2017 年度 実施状況報告書

アロマターゼ遺伝子欠損マウスにおける肥満と慢性炎症病態の関連性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K17333
研究機関徳島大学

研究代表者

岩浅 亮彦  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 助教 (90746025)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードアロマターゼ欠損 / 肥満 / 慢性炎症
研究実績の概要

アロマターゼは、エストロゲンを合成するために必要なステロイド代謝酵素であり、多様な生理機能に関わっている。アロマターゼ遺伝子欠損(ArKO)マウスは、エストロゲンが免疫システムに及ぼす影響を理解するための有用な動物モデルである。
本研究では、エストロゲン欠乏による肥満状態を示し、唾液腺にシェーグレン症候群様の慢性炎症病変が報告されているArKOマウスを用いて、アロマターゼ欠損による肥満によって脂肪組織中のMCP-1の発現が亢進することと、顎関節での関節リウマチや、変形性顎関節症といった慢性炎症病態との関連性を明らかにすることを目的としている。
これまでの研究で、ArKOマウスでは、野生型(WT)マウスと比較して体重の増加とともに、内臓脂肪である白色脂肪が有意に増加していることを認めた。また、ArKOマウスの内臓脂肪における遺伝子発現解析の結果、ArKOマウス内臓脂肪での炎症関連因子であるMCP-1、およびF4/80、TLR-4、NF-κBの発現の亢進を認めている。さらに、血清中のMCP-1量についてもArKOマウスで有意に高い値を示す事を確認している。
ArKOマウスの顎関節における病理組織学的解析についてこれまでの検討で、ArKOマウス顎関節組織切片のHE染色、TRAP染色、サフラニンO染色を行ったところ、下顎頭における軟骨層の減少ならびにTRAP陽性破骨細胞数の増加を認めたことから、アロマターゼ欠損が顎関節の炎症状態に関与していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

アロマターゼ遺伝子欠損マウス(ArKOマウス)の作製段階で予定よりも時間を費やしており、まだArKOマウスでの解析が開始できていない状況である。
そのため、アロマターゼインヒビターを腹腔内投与することによるアロマターゼ減少状態モデルマウスおよび、卵巣摘出マウスにおける肥満と顎関節における慢性炎症状態の解析を優先的に行っている。

今後の研究の推進方策

アロマターゼ遺伝子欠損(ArKO)マウスはエストロゲンの産生異常におる不妊を呈し、今後実験に必要なだけのマウスの繁殖を行うにはまだ長時間を要すると推察される。
このことから、ArKOマウスの繁殖を急ぐ事と併行して、In vivoでは野生型(WT)マウスを用いてアロマターゼインヒビター(AI)を腹腔内投与することで、後天的にアロマターゼの産生量を低下させたAI投与マウスを用いた解析、および生後1か月で卵巣を摘出することでエストロゲン産生を低下させた閉経期モデルマウスを作成することで、代替え的にエストロゲン欠乏状態でのマウス顎関節における炎症病態の解析を先行して進めていく予定である。
また、In vitroでのマウス骨髄細胞から誘導した破骨細胞や、軟骨前駆細胞株におけるアロマターゼインヒビター添加時の分化・増殖に対する影響の検討など、アロマターゼ阻害による骨・軟骨系統細胞への影響についての解析も並行して進めていくことを考えている。

次年度使用額が生じた理由

アロマターゼ遺伝子欠損マウスの作製が遅滞しているため、繁殖およびアロマターゼ遺伝子欠損マウスを用いた実験も予定通り進んでいない状況であることから、計画していたよりも使用額が下回っている。今後は、アロマターゼ遺伝子欠損マウスの作製ならびに繁殖を取り急ぎ進めていき、前年度予定していた実験計画を進め、遅れを取り返す予定である。
次年度では、野生型マウスであるC57BL/6マウスに、エキセメスタンなどのアロマターゼインヒビター(AI)の腹腔内投与を行い、AI投与マウスにおける顎関節の組織切片を作製し、HE染色、免疫染色法を用いた病理組織学的解析を行う予定である。
また、AI投与マウス顎関節におけるMCP-1、F4/80、TLR-4、NF-κB、IL-1β、IL-6、IFN-γ、TNF-αなどの遺伝子発現、タンパクレベルでの発現について解析を計画している。回収した内臓脂肪および顎関節におけるマクロファージの細胞数ならびにマクロファージ中のM1、M2マクロファージの細胞比についてフローサイトメトリーにて解析についても予定している。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] Skeletal anchorage for intrusion of bimaxillary molars in a patient with skeletal open bite and temporomandibular disorders.2017

    • 著者名/発表者名
      Akihiko Iwasa, Shinya Horiuchi, Nao Kinouchi, Takashi Izawa, Masahiro Hiasa, Nobuhiko Kawai, Akihiro Yasue, Ali H Hassan, Eiji Tanaka
    • 雑誌名

      Journal of Orthodontic Science

      巻: 6(4) ページ: 152-158

    • DOI

      10.4103/jos.JOS_63_17

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Fas/S1P 1 crosstalk via NF-κB activation in osteoclasts controls subchondral bone remodeling in murine TMJ arthritis2017

    • 著者名/発表者名
      Hutami Islamy Rahma、Izawa Takashi、Mino-Oka Akiko、Shinohara Takehiro、Mori Hiroki、Iwasa Akihiko、Tanaka Eiji
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 490 ページ: 1274~1281

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2017.07.006

  • [学会発表] 不正咬合患者における埋伏歯についての臨床統計学的調査 A clinicostatistical survey of impacted tooth in patients with malocclusion.2017

    • 著者名/発表者名
      小西晴奈,藤本果南,岩浅亮彦,渡邉佳一郎,堀内信也,田中栄二
    • 学会等名
      四国歯学会第50回例会
  • [学会発表] 矯正患者における永久歯の先天的欠如に関する臨床統計調査.2017

    • 著者名/発表者名
      小笠原直子、岩浅亮彦、佐藤博子、藤多 睦、岡 彰子、伊藤彩実、七條なつ子、川合暢彦、井澤 俊、田中栄二
    • 学会等名
      第60回中・四国矯正歯科学会大会
  • [学会発表] 歯科矯正患者における埋伏永久歯に関する実態調査.2017

    • 著者名/発表者名
      藤本果南、小西晴奈、岩浅亮彦、市原亜起、白井愛実、渡邉佳一郎、日浅雅博、森 博世、堀内信也、田中栄二
    • 学会等名
      第60回中・四国矯正歯科学会大会
  • [学会発表] 歯科矯正患者における進行性下顎頭吸収の発現頻度とその危険因子の検索.2017

    • 著者名/発表者名
      岩浅亮彦、井澤 俊、森 浩喜、岡 彰子、藤多 睦、川合暢彦、堀内信也、田中栄二
    • 学会等名
      第30回日本顎関節学会総会・学術大会
  • [学会発表] 変形性顎関節症モデルラット下顎頭及び炎症状態下軟骨細胞に対する低出力パルス超音波による影響.2017

    • 著者名/発表者名
      藤多 睦、重田 南、岩浅亮彦、森 浩喜、川合暢彦、井澤 俊、堀内信也、田中栄二
    • 学会等名
      第30回日本顎関節学会総会・学術大会
  • [学会発表] 徳島大学病院矯正歯科患者における永久歯埋伏に関する臨床統計学的調査.2017

    • 著者名/発表者名
      岩浅亮彦、小西晴奈、藤本果南、小笠原直子、渡邉佳一郎、日浅雅博、堀内信也、田中栄二
    • 学会等名
      第76回日本矯正歯科学会学術大会
  • [学会発表] Role of hypoxia inducible factor-1α in the palatal wound healing.2017

    • 著者名/発表者名
      Hutami Islamy Rahma, Izawa Takashi, Iwasa Akihiko, Oka Akiko, Khurelochir Tsendsuren, Mori Hiroki, Tanaka Eiji
    • 学会等名
      第76回日本矯正歯科学会学術大会

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公開日: 2018-12-17  

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