本研究はヒト脱落乳歯由来肝細胞(SHED)を活用して自閉スペクトラム症(ASD)の病態を解明することを目的とし、ASDのSHEDをドパミン神経細胞(DN)へ分化させて解析を行った。ASD群では健常児に比べ、DNの突起周長と分岐数、突起に局在するミトコンドリア数および活性が有意に減少し、細胞内ATPとカルシウム濃度に有意な低下を認めた。さらに、脳由来神経栄養因子(BDNF)とDNの共培養により、健常児群では突起周長と分岐数が有意に増加したが、ASD群では差は認めなかった。以上により、ASDにおいて、BDNF下流のシグナルによるミトコンドリア機能低下がDN突起伸張を抑制することが明らかとなった。
|