研究課題/領域番号 |
17K17336
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
西俣 はるか 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10755755)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Bacteroides門 / Porphyromonas属 / P. endodontalis / 歯周病原性菌 / 菌体外多糖 / DPP |
研究実績の概要 |
本研究は,我々が発見した歯周病原性菌Porphyromonas endodontalis ジペプチジルペプチダーゼ(Dipeptidyl-Peptidase:DPP)を基点として,同菌の病原性に関与するジペプチド分解系の全容解明およびその阻害経路確立を目指すものである.DPPは,細胞内膜と外膜間のペリプラズムに局在するペプチダーゼで,オリゴペプチドを分解して細胞内に取込み可能なジペプチドへ変換する酵素である.我々の研究などから,Porphyromonas属のP. endodontalisとP. gingivalisにはDPP4, 5, 7, 11の4種が存在し,各々の酵素は異なる基質特異性を有することが明らかとなっている. 我々は,KEGG Orthology Database及びExpanded Human Oral Microbiome Databaseの検索結果から,DPP遺伝子は全口腔細菌のうち,Porphyromonas属やPrevotella属を含む嫌気性菌に限定的に存在することを明らかにした.これらDPP遺伝子を有する細菌は歯肉縁下プラークの構成細菌である.そのため,歯肉縁下プラークを構成するこれらの菌の存在やその活動度を,ヒト口腔サンプルのDPP活性測定を行うことで評価できると考えられた.実際に,ヒト口腔サンプル(唾液・歯肉縁下プラーク)を用いたこれらのペプチダーゼ活性測定により,歯周病原性菌の存在有無が予想された.以上,DPP活性測定が歯周病の指標の1つとして活用できることが本研究より示唆され,これを報告した(FEMS Microbiol lett, 2018).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の期間において我々は,糖非発酵性グラム陰性偏性嫌気性のPorphyromonas endodontalisと同じBacteroidetes門で,Bacteroides属の以下4菌種(Bacteroides vulgatus, Bacteroides thetaiotaomicron, Bacteroides ovatus, Bacteroides fragilis)を選択し,Clan PA S46ファミリーに属する未知遺伝子を探索し,翻訳産物の基質特異性を検討した結果,従来のDPP11とは性質の異なるサブタイプが存在することを見出し報告した(Biochimie, 2018). また,ヒト成人の唾液中細菌DPP活性についての検討から,口腔において歯周病原性菌に対するバイオマーカーとしてDPPが活用できる可能性が示唆され,これを報告した(FEMS Microbiol lett, 2018).しかし,実験に使用する培地調整に必要な実験機器の故障・修理に時間を要したこともあり,研究の実施期間の延長が必要となった.
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今後の研究の推進方策 |
本研究において,ヒト口腔サンプルを用いたDPP活性測定により,歯周病原性菌の存在の有無が予測されたことから,DPP活性測定は歯周病原性菌の指標として有用であることが示唆された.今後は学会発表等を通じ,本研究成果を対外的に発信していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本実験遂行に使用する実験機器の故障により、修理の日数を必要としたため研究の実施期間が延長したこと、およびこれら研究成果発表の学会参加をH31.6に予定することとなったことから、本補助事業期間の延長が必要となり、これに伴い次年度使用額が生じた。次年度使用額は、学会参加費用・研究用物品購入に充てる予定である。
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