研究課題/領域番号 |
17K17338
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
芳賀 秀郷 昭和大学, 歯学部, 助教 (00736655)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 頭蓋縫合部 / 遺伝要因 / 顎顔面形態 |
研究実績の概要 |
本研究は既に関連倫理委員会の承認済みである(昭和大学ヒトゲノム・遺伝子解析倫理委員会 承認番号108号 平成20年12月16日付)。対象者は昭和大学歯科病院矯正歯科に来院されている成人患者(先天性疾患を有する者は除外する)について協力を依頼し文章にて同意を得たものである。 候補遺伝子関連解析から頭蓋顎顔面の変形に関与する遺伝的要因を検証を行った。過去の報告において頭蓋顎顔面形態と関与が疑われる約8個の候補遺伝子リストを作成し候補遺伝子関連解析を行った。FGF / FGFRシグナル経路に関与する遺伝子の変異は頭蓋骨癒合症および顔面の異常を引き起こし、その結果、頭蓋骨早期癒合症など特に縫合部および軟骨結合に影響を与えることが明らかにされているものもあり候補遺伝子リストにはFGFR1遺伝子も含まれる。また、約50万SNPs(一塩基多型)のタイピング(研究開始時、すでに完了済み)ゲノムワイド関連解析約50万SNPs(一塩基多型)のタイピング(イルミナOmni Express)が完了している。全ゲノム増幅(1000倍以上)→断片化(300~600bp程度)処理→ビーズチップ(イルミナOmniExpress)とのハイブリダイゼーション→ポリメラーゼによる伸張反応→蛍光標識→スキャナーによる生データ読み取り の過程を経て遺伝子型を決定した。候補遺伝子の関連解析として、本申請課題ではDigiTag2、Taqman法によるタイピングを採用した。SNPs(一塩基多型)のタイピング精度・再現性を維持しながら可及的に低コストで実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は既に関連倫理委員会の承認を得ていた(昭和大学ヒトゲノム・遺伝子解析倫理委員会 承認番号108号 平成20年12月16日付)。また、平成27年9月までに一次スクリーニングとしての約500名の検体収集、DNA抽出、約50万SNPs(一塩基多型)のタイピング(イルミナOmniExpress)を完了し、また本申請課題が実施可能な二次スクリーニングとしての約200名の検体収集、DNA抽出も完了している。同様の解析手法を用いた研究を過去にも行っており、本年度もおおむね順調に研究が進展したものと考えられる。 解析に必要な施設(リアルタイムPCRシステム)においても昭和大学に現有し、DigiTag2法(Anal Biochem, 2007)は疾患感受性候補領域における絞り込みに必要と考えられる数十から数百種類のSNPsを同時にタイピングする方法として実用化されている。ハイスループットであるTaqman法もSNPタイピングにおいて併用する。HapMap date(http://hapmap.ncbi.nlm.nih.gov/)からの350万アッセイが既成として用意されているため、目的とするSNPsの解析が簡便に行えたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
【平成30年度の研究計画】 関与する遺伝因子の役割から頭蓋顎顔面の変形の病態理解・発症メカニズムを解析する。 (1)頭蓋顎顔面計測データの抽出:被験者から得られた資料のうち、正面・側面頭部X線規格写真(セファロ)から透写図を作成し、距離的計測および角度的計測を行う。 (2)遺伝統計学的解析:集団の構造化の検定→ハプロタイプ推定(Genotype imputation;コンテンツが異なるマーカーセット間でのジェノタイピングデータの推測)→関連解析(独立性検定) を経て疾患・形質に関連する遺伝子座位を特定する。申請者らは過去にこの手法での報告を行っており、また遺伝統計学的解析手法に習熟している。 (3)補完SNPsの解析:候補遺伝子の関連解析 (4)研究成果の総括:研究成果は、歯科分野のみならず人類遺伝学分野においても国内外の学会にて報告するとともに国際的な学術雑誌に発表する。また購読者数の多い歯科商業誌へも総説を投稿することを予定する。さらに新聞や雑誌等メディアを通じ、成果を公表し学術的波及に努める予定である。
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