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2019 年度 実績報告書

薬剤性歯根形成障害に対する幹細胞投与療法の可能性

研究課題

研究課題/領域番号 17K17344
研究機関福岡歯科大学

研究代表者

中村 雅子  福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (70781102)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードシクロホスファミド / Hertwig’s上皮鞘 (HERS) / 上皮ー間葉形質転換
研究実績の概要

シクロホスファミド(CPA)は、アルキル化剤に分類される抗がん剤あるいは免疫抑制剤として使用されている。小児悪性腫瘍に対する大量化学療法は、歯の形成異常や萌出障害といった晩発障害を惹起する。本実験では大量化学療法による歯の晩発障害のうち、歯根形成障害に着目し、CPAが歯根形成を担うHertwig’s上皮鞘 (HERS) に与える影響を明らかにすることを目的として解析を行ってきた。
In vivoにおいて、高濃度CPAを投与した群では、一般的な抗がん剤の副作用である体重減少と脱毛を認めた。しかしながら、歯の萌出や歯冠形態には影響を及ぼさなかった。 しかし、歯根形成については、高濃度群で歯根伸長の停止および根尖孔の早期閉鎖がみられた。In vitroにおいては、CPA濃度依存的に細胞数の減少を認めた。ウエスタンブロットと免疫染色によるタンパク発現の検索においては、control群では、E-cadherinの発現を認めたが、N-cadherinの発現はみられなかった。しかしながら、高濃度刺激群では、E-cadherinの発現の減少およびN-cadherin発現の上昇を認めた。これらのことから、HERSの細胞間接着が低下し、早期にEMT様の現象を誘発しHERSの断片化を引き起こすことで根尖孔の早期閉鎖およびそれに伴う短根形成につながることが示唆された。
つまり、高濃度CPA投与は、根尖孔の早期閉鎖および短根形成を誘発する。また、これらの変化は、EMT様現象の誘導によるHERSの断片化が関与する可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Cyclophosphamide Promotes Arrested Development of the Dental Root in Mice2020

    • 著者名/発表者名
      Satoru Matsuo, Masako Toda-Nakamura, Kyoko Oka, Hiroshi Kajiya, Kayoko Ogata, Hanako Ishii, Masao Ozaki, Jun Ohno
    • 雑誌名

      Journal of Hard Tissue Biology

      巻: 29(20) ページ: 63-70

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Dynamic changes in HERS cells treated with chemotherapeutic drug2019

    • 著者名/発表者名
      Hanako Ishii, Kaori Ishii, Jun Ohno, Masao Ozaki
    • 学会等名
      2019 Korean Academy of Pediatric Dentistry
    • 国際学会
  • [学会発表] ヘルトビッヒ上皮鞘細胞の抗がん剤刺激による動態変化の検討2019

    • 著者名/発表者名
      石井華子, 松尾 聡,中村雅子, 岡 暁子, 大野 純,尾崎正雄
    • 学会等名
      第46回福岡歯科大学学会総会

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公開日: 2021-01-27  

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