研究課題/領域番号 |
17K17349
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤原 千春 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (00755358)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | CD40 / CD40L / セメント芽細胞 / 歯根膜細胞 |
研究実績の概要 |
歯根膜はセメント質と歯槽骨の間に介在し、歯に加わるメカニカルストレスを緩衝し、歯周組織を保護する役割を担っている。しかしながら、如何なる分子機構によりメカニカルストレス受容システムとしてのセメント質―歯根膜―歯槽骨複合体が機能し、歯周組織の恒常性が維持されているのかは十分に解明されていない。本研究では、メカニカルストレスによって歯周組織構成細胞上に誘導されるCD40-CD40リガンド (CD40L) の相互作用に着目し、同相互作用が、メカニカルストレスを受容して、セメント質―歯根膜―歯槽骨複合体を活性化するネットワーク分子として機能するという仮説を立て、CD40-CD40L相互作用依存性の歯周組織リモデリング機構について解明することを目的としている。 平成29年度は、メカニカルストレス誘導性セメント質-歯根膜-歯槽骨複合体の活性化機構におけるCD40-CD40L相互作用の関与について検討を行うため、以下の研究を行った。 A) メカニカルストレス応答時の歯周組織構成細胞おけるCD40Lの経時的発現パターン:コラーゲンコーティングチャンバーにセメント芽細胞を播種し、培養細胞進展システムシェルパを用いて、様々な条件下で細胞を伸展させた。伸展後、Real-time PCRまたは、フローサイトメーター (FACS)にてCD40LのmRNA及びタンパク発現の経時的変化を検討した。 B) セメント質-歯根膜-歯槽骨複合体活性化におけるCD40-CD40L相互作用の関与:CD40-CD40L相互作用により、歯根膜細胞とセメント芽細胞の配列に影響が生じるのかを検討するため、以下の予備実験を行った。すなわち、セメント芽細胞株にEGFPでラベルされたCD40Lプラスミドベクターをトランスフェクションした。また、歯根膜細胞株にRFPでラベルされたCD40プラスミドベクターをトランスフェクションした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セメント質-歯根膜-歯槽骨複合体活性化におけるCD40-CD40L相互作用の関与を検討するために必要な細胞を用意することができた。また、同実験を行うためのメカニカルストレス刺激の至適条件もすでに確定している。平成30年度のin vivo実験に必要なマウスの匹数を確保するため、CD40floxマウスとCollagen Ia CreマウスまたはRANK Creマウスの交配を現在行っている。
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今後の研究の推進方策 |
B) セメント質-歯根膜-歯槽骨複合体活性化におけるCD40-CD40L相互作用の関与 CD40-CD40L相互作用により、歯根膜細胞とセメント芽細胞の配列に影響が生じるのかを検討する。すなわち、EGFPでラベルされたCD40Lプラスミドベクターをトランスフェクションしたセメント芽細胞株と、RFPでラベルされたCD40プラスミドベクターをトランスフェクションした歯根膜細胞株を共培養し、蛍光顕微鏡にて各細胞の配列を観察する。また、共培養することで、セメント芽細胞からのCD40L刺激が入った際に生じる歯根膜細胞の機能を検討する。 C)CD40-CD40L相互作用の破骨細胞に対する機能解明 平成29年度に作成した骨芽細胞特異的CD40cKOマウスおよび破骨細胞特異的CD40cKOマウスの歯に矯正力を負荷した際の、歯根膜の組織学的変化や歯槽骨の形態をHE染色及びマイクロCTを用いて検討する。さらに、ex vivoにて、破骨細胞や骨芽細胞の分化能や機能にどのような変化が生じるのかを検討する。
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