研究課題
歯周組織にメカニカルストレスが加わった際に発現上昇するCD40とCD40Lの機能について検討することを目的に研究を行った。1) 歯周組織にメカニカルストレスが加わるとセメント芽細胞上にCD40Lの発現が一過性に上昇すること前年度研究結果にて確認した。そこで、本年度はセメント芽細胞にGFP-CD40L発現ベクターをトランスフェクションし、CD40発現歯根膜細胞と共培養した際にどのような機能が歯根膜細胞に誘導されるのかを検討した。まず、GFP-CD40Lベクターをセメント芽細胞にトランスフェクションし、導入効率をリアルタイムPCRにて確認した。その後、GFP-CD40Lベクター導入セメント芽細胞とGFP-emptyベクター導入セメント芽細胞を歯根膜細胞と共培養し、PI染色にて細胞数の条件を検討した。その結果、セメント芽細胞:歯根膜細胞=1:1で共培養した際に最も細胞の生存率が上昇することが明らかとなった。加えて、CD40導入株ではemptyベクター導入株と比較して有意に細胞生存率が上昇することが明らかとなった。2) 歯周組織にメカニカルストレスが加わると、歯周組織において、破骨細胞と骨芽細胞が相互に作用することで骨のリモデリングが促進する。CD40は破骨細胞上にも発現していることが明らかとなっている。そこで、CD40floxマウスとRANK-Creマウスを交配して、破骨細胞特異的CD40コンディショナルノックアウトマウスの作成を行った。マイクロCT解析の結果より、破骨細胞特異的CD40コンディショナルノックアウトマウスでは骨密度の増加を認めた。さらに、同マウスの骨からRNAを採取し、リアルタイムPCR解析を行ったところ、RANKL/OPGの割合の低下を認めた。以上より、CD40からのシグナルは破骨細胞の分化を促進することが示唆された。
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