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2017 年度 実施状況報告書

歯周病菌抗体価は脳梗塞の発症および転帰を予測できるか?

研究課題

研究課題/領域番号 17K17350
研究機関広島大学

研究代表者

青木 志郎  広島大学, 病院(医), 助教 (10457236)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワード歯周病菌抗体価 / 急性期脳梗塞
研究実績の概要

急性期脳梗塞患者の歯周病菌抗体価を測定し、歯周病菌抗体価と転帰との関連や、菌種による影響の違いについて明らかにすることを目的とした。2013年1月から2016年4月の間で当院および共同研究機関に入院した急性期脳梗塞患者を前向きに連続登録し、入院時の歯周病菌抗体価や背景因子と発症3か月後のm-RSとの関連を統計学的に解析した。入院時の患者血清より9菌種16菌体の歯周病菌抗体価をELISA法にて測定した。研究期間中550名の患者が登録され、発症前のm-RS≧2の症例を除いた445例を解析対象とした。平均年齢は71.9±12.3歳、男性の割合が56.0% (n=249)で、入院時NIHSSの中央値は3 [1-6]だった。発症3か月後の転帰不良例(m-RS≧2)は34.2% (n=152)で、転帰不良例ではFusobacterium nucleatum (Fn10953)、Treponema denticola、Tannerella forsythia、Campylobacter rectusに対する抗体価が有意に高かった。発症3か月後の転帰不良に関連する因子について多変量解析を行ったところ、年齢 (odds ratio 1.02, 95% CI 1.00-1.05)、入院時NIHSS (odds ratio 1.30, 95% CI 1.22-1.40)に加えて、抗IgG Fn10953抗体価 (odds ratio 1.57, 95% CI 1.08-2.33)が独立した有意な因子として抽出された。入院時の歯周病菌抗体価を測定することにより、脳梗塞患者の発症3か月後の転帰を予測できる可能性があることを示した結果と考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画していた平成29年度の研究計画としては、急性期脳梗塞患者の歯周病菌抗体価の測定(急性期脳卒中患者(発症7日以内)を前向きに連続登録し、患者の同意を得た上で血清を採取する。脳卒中病型はTOAST分類により分類する。患者血清は広島大学病院に集積し、歯周病菌抗体価を測定する。歯周病菌抗体価(Pi26511, PgHW24D1, PgSU63, Pg381, Td)の測定はそれぞれ歯周病原菌3菌種5菌体に対する血清 IgG 抗体価をELISA法により測定する。対照として非脳卒中患者の歯周病菌抗体価(Pi26511, PgHW24D1, PgSU63, Pg381, Td)の測定を行い、この抗体価の平均値+2SDを基準とし、これ以上の抗体価を示したものを陽性とする。)、急性期脳梗塞患者の炎症マーカー、細菌のエンドトキシンの測定および歯周病菌抗体価との関連の検討、急性期脳梗塞患者の転帰と歯周病菌抗体価との関連についての検討であり、おおむねこれらの検討は計画通りに施行されていると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後の研究計画のメインは、歯周病菌が脳梗塞巣に及ぼす影響についての組織学的検討であり、具体的には歯周病菌を感染させた虚血ラットの作成、歯周病菌感染ラットと非感染ラットの梗塞面積の検討、梗塞巣周囲の神経新生に関する免疫組織学的検討である。これらについては、基礎研究の経験豊富で免疫組織学研究のエキスパートであり、申請者が所属する研究室のメンバーである丸山准教授、高橋講師、永野助教らに技術的アドバイスを受け、議論を深めながら研究を推進していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

実験に使用する物品費および旅費が当初予想していた金額より下回ったため次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせて、今年度に行うことができなかった抗体測定や動物実験を含めた基礎実験の物品費、および研究成果発表のための学会参加時の旅費、論文発表時の出版費などに使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 血清IgG歯周病菌抗体価は脳梗塞患者の転帰予測因子となりうる2018

    • 著者名/発表者名
      青木志郎
    • 学会等名
      第43回日本脳卒中学会学術集会

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公開日: 2018-12-17  

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