歯周病の初発病変は、歯周病原細菌と最初に遭遇する接合上皮において認められる。侵入した細菌に対して好中球等が遊走し、抗菌タンパク等を分泌する。Secretory Leukocyte Protease inhibitor(SLPI)は、好中球から分泌される酵素NE(Neutrophil Elastase)の活性を阻害する機能をもつセリンプロテアーゼインヒビターの一つである。SLPIは、創傷治癒の促進、抗菌活性、過度な炎症反応の抑制等多彩な機能をもつことが報告されているが、歯周病病態における接合上皮のバリア機構でのSLPIの詳細なメカニズムについては十分に解明されていない。 そこで、培養歯肉上皮細胞におけるSLPIの発現様式について検討した。ヒト歯肉上皮細胞(Ca9-22 cell)を用いて、LPS刺激時におけるSLPIの遺伝子発現を解析した。LPS刺激群は、非刺激群と比較して、増加傾向を認めた。 また、歯周病の病態において認められる各種炎症性サイトカインで刺激し、SLPIの遺伝子発現量を評価した。炎症性サイトカイン刺激群は、非刺激群と比較して、増加傾向を認めた。さらに、LPSのアンタゴニストによるSLPI遺伝子発現への影響も検討した。
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