研究課題/領域番号 |
17K17360
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
喜田 大智 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (70755032)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | バイオフィルム / IX型分泌機構 / Capnocytophaga ochracea / 歯学 |
研究実績の概要 |
本研究はPorphyromonas gingivalis やCapnocytophaga ochracea などの口腔内細菌を用いて歯周病原細菌のIX 型分泌機構およびそれにより輸送される菌体外重合体物質(extracellular polymeric substance: EPS)構成タンパク質が歯周病原性バイオフィルム形成に与える影響を明らかにすることを目的としている。平成29年度は、C. ochracea のIX 型分泌機構がバイオフィルム形成に与える影響を、野生株とIX 型分泌機構コード遺伝子欠失株のバイオフィルム形成をクリスタルバイオレット染色法、走査型電子顕微鏡および共焦点レーザー顕微鏡により観察、比較することで確認した。結果、野生株と比較し、IX 型分泌機構コード遺伝子欠失株のバイオフィルム形成量は有意な減少を認めた。また、C. ochracea のIX 型分泌機構がFusobacterium nucleatum とのpolymicrobial バイオフィルム形成に与える影響を確認した。野生株とF. nucleatum のものと比較し、IX 型分泌機構コード遺伝子欠失株とF. nucleatum のpolymicrobial バイオフィルム形成量には有意な減少を認めた。平成30年度は、Capnocytophaga ochracea 野生株とIX 型分泌機構欠失株のEPS 構成タンパク質の抽出を以下の文献:Mohammed MMA et al. Anaerobe. 2017, Chiba A et al. Microb Biotechnol. 2015 を参考に行った。各株を嫌気下で48時間静置培養して作成したバイオフィルムに1.5M NaClを加え、EPS 構成タンパク質の抽出を行った。それらをSDS-PAGE により分離したところ、各株間で発現量に差を認めるバンドが存在した。これらをLC-MS/MS分析により同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度実施予定としていた、プロテオーム解析により同定したEPS 構成タンパク質のリコンビナントタンパク質を精製、そのタンパク質の各菌株のバイオフィルム形成への影響を確認することを遂行できなかったため。また、リコンビナントタンパク質を抗原として、抗EPS 構成タンパク質抗体を作製し、野生株に作用させることで、バイオフィルム形成が阻害されるか確認することができていないため。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度実施予定であった研究内容を遂行し、かつCapnocytophaga ochracea 野生株、 IX 型分泌機構コード遺伝子欠失株それぞれとF. nucleatum とのpolymicrobial バイオフィルム形成を各菌のEPS 構成タンパク質のリコンビナントタンパク質および抗EPS 構成タンパク質抗体の添加の有無で比較することで、歯周病原性バイオフィルム形成へのIX 型分泌機構およびEPS 構成タンパク質の影響を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に予定していた、リコンビナントタンパク質の精製ならびに抗体の作製を遂行することができなかったため。
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