実験的歯周炎モデルラットの作製および歯周組織と血液の検討 7週齢雄性 Sprague-Dawley(SD)ラットに対し、上顎両側第二臼歯の歯頸部に縫合用ナイロン糸を留置し、プラークの停滞を促進させることにより実験的歯周炎を惹起し実験群とした。歯周炎誘導後4週間後に血液および組織の採取を行い、血液、歯周組織および動脈の組織の解析を行った。また、凍結包埋にて歯肉における連続切片を作製し、組織染色を用いて炎症性細胞浸潤の程度を病理組織学的に評価した 。歯槽骨吸収の解析は、μ-CT を用いて評価した。歯周病原細菌によって産生された LPS が血行性に大動脈の血管内皮細胞に作用している事を証明するために採取した血液サンプルから、エンドトキシン試験法により血液中のLPSの検出を評価した。 大動脈における遺伝子発現解析および病理組織学的解析大動脈の評価として下行大動脈を採取し、qPCR法を用いて、動脈硬化に関連する遺伝子発現解析および接着分子に関する半網羅的な遺伝子検索のため PCR array を行い評価した。大動脈を長軸方向に切り開き、CD68抗体および Alexa Fluor Dyesを用いて動脈表層の免疫組織染色を行い、大動脈への単球の接着を病理組織学的に評価した。 LPS刺激されたTHP-1がHUVECに接着するかを分子生物学的機序についての検討を行った。次にsiTLR4添加しRNA干渉によりTLR4をノックダウンさせ、回収したTHP-1からqPCRを用いて、遺伝子発現を解析した。また、上清成分は酵素免疫測定にて、炎症性サイトカインであるTNF-a、IL-1、MCP-1の解析を行った。さらに、回収したTHP-1をHUVECに添加し、蛍光染色を用いた接着能の評価を行った。LPS刺激された単球の内皮細胞への接着を評価し、歯周炎が動脈硬化を誘導する分子生物学的機序について評価した。
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