昨年度からの研究を継続し、ニーズアセスメント調査と細菌検査を行った。 ニーズアセスメント調査:首都圏の母子周産期医療センター(総合・地域)を対象にアンケート調査を行い、55施設(55%回収率)からの結果について解析を行った。歯科の必要度(ニーズ)を確認すると、入院中では平均値60.44%(中央値60%)、在宅移行時では平均値73.4%(中央値80%)と、比較的に高い傾向であった。歯科との連携に関しては、「入院中に歯科との連携がある(院内歯科、及び、院外からの往診)」と回答した科は、43/55科(78.2%)であった。一方、「在宅移行時に在宅対応可能な歯科との連携がある」と回答した科は、13/54科(24.1%)であった。そのため、特に在宅移行時の歯科的なニーズに対して、小児在宅歯科医療が十分に対応できていないことが考えられた。また、東京都内の訪問看護ステーション(事業所)へのアンケート調査結果についての解析も行った。東京訪問看護ステーション協議会が掲載している全施設である東京都内の584事業所を対象とした調査である(回収率 33.6%:184/584事業所)。その結果、歯科と連携があると回答した事業所は18か所と少ないことが確認でき、在宅移行後の小児在宅歯科医療との連携ができていない可能性が考えられた。今後、ニーズアセスメント調査については、論文で発表予定である。 細菌検査:気管切開児を対象に、常在菌の薬剤耐性についての検討を行うことを目的に、唾液と、気管切開部からの喀痰及び分泌物の採取を行った。対象患者数が、当初の予定よりも少ない傾向であったが、疾患に関係なく口腔内から耐性菌の検出を行うことができた。今後、解析をすすめ、結果を学会で発表予定である。
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