研究課題/領域番号 |
17K17387
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
渕田 慎也 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 助教 (90732834)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ライフコース / 口腔保健 / 歯科保健事業 / 市区町村 / 地域診断 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,口腔の健康格差を縮小させるため,胎児期から幼少期,成人期にわたるライフコースアプロ―チに地域から焦点を当て,全国市区町村の教育・就業・婚姻・家族類型に関する指標と小児のう蝕有病者率及び成人の歯周疾患有病者率との関係を明らかにすることである。そして,地域格差に影響するライフコース指標を用いた口腔保健の地域診断ベンチマークを開発し,う蝕と歯周疾患の地域格差縮小に向けた指針としたいと考えている。 平成29年度は,全国市区町村のライフコース指標と口腔保健の実態を把握するため,全国1,741市区町村の教育・就業・婚姻・家族類型に関する数値の収集・算出と全国市区町村への口腔保健の実態調査を実施した。 具体的に,平成29年3月に公表された平成27年度「地域保健・健康増進事業報告」より得られた歯周疾患検診受診者数と同時期の「住民基本台帳年齢階級別人口」より推定された対象年齢人口から,全国と自治体ごとの推定受診者率を算出した。結果として,平成27年度の全国推定受診者率は4.3%であった。 実態調査については,全国1,741市区町村に対して,平成28年度時点の成人歯科保健事業の実施状況を質問紙によって実施した。これまでに863自治体から回答が得られ(回収率:49.6%),有効回答の約70%が歯周疾患検診の実施自治体であった。また,「過去3年間に成人歯科保健事業に対して検診データを活用した」自治体は約25%であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は,主に教育・就業・婚姻・家族類型に関する数値の収集・算出と全国市区町村への口腔保健の実態調査を計画していたが,研究実施計画通りに進捗している。 実態調査の回収率は当初目標を下回った(49.6%)が,データ入力・クリーニングは完了しており,平成30年度の要因分析に向けておおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,研究実施計画通りに,平成29年度の算出結果と調査結果を用いて,ライフコース指標を用いたう蝕有病者率に関わる要因分析と歯周疾患検診結果において「異常なし」と判定される者の割合に関わる要因分析を実施する。 具体的に,歯周疾患検診の推定受診者率や結果において「異常なし」と判定される者の割合が高い自治体と低い自治体の差異に関わるライフコース指標を,質問紙調査から得られた成人歯科保健事業の実施状況,交絡する社会背景要因として人口規模や財政状況,人口当たりの歯科医師数等を用いて分析する。 さらに,分析結果を踏まえて口腔保健の地域診断ベンチマークを作成する。具体的に,都道府県レべルの社会経済的要因を調整後も関連が残る市区町村の教育・就業・婚姻・家族類型に関する数値を用いる。ライフコ―ス指標から,ストラクチャー(構造)評価とプロセス(過程)評価,そしてアウトカム評価それぞれに応じたベンチマークとする。作成した地域診断ベンチマークは,信頼性と妥当性の検証を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は成果発表が少なく,若干の次年度使用額が生じた。 平成30年度は複数の成果発表を予定しており,併せて使用する。
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