研究実績の概要 |
平成30年度は高齢知的障害者の研究を遂行するにあたり前段階として知的障害児を対象とした研究を行った。知的障害児は自身による歯磨きが困難であり,養育者による「仕上げ磨き」が必要となる.手を使って相手の身体に触れるケアである「タッチケア」は,子供の緊張,不安感を軽減させる効果がある.そこで,知的障害児の養育者に対して, タッチケアを併用する仕上げ磨きの指導を行い,仕上げ磨き実施困難に対する改善効果および口腔内環境の変化について検討を行った。 愛知県内の療育施設を利用する知的障害児とその養育者を対象とした.調査開始時に, 知的障害児の口腔内診査と唾液検査を行った.養育者に対して,仕上げ磨き実施状況に関するアンケート調査および仕上げ磨きの指導を含む口腔保健指導を行った。再評価時の養育者の仕上げ磨きの実施状況は,毎日実施する者や寝かせた状態で行う者が増加し,仕上げ磨きの時間が長くなる傾向が見られ,仕上げ磨きをの時に,泣く,暴れる,嫌がる状態に改善がみられた.また,養育者の8割以上が本研究への参加に満足感を示した.調査開始時と再評価時で唾液検査の結果に顕著な変化は認められなかった.指導開始から6ヶ月後の再評価時に,調査開始時と同じ口腔内診査と唾液検査を行い,養育者に仕上げ磨きの実施状況の変化について尋ねた.本研究より,タッチケアを併用した仕上げ磨きの指導は,知的障害児の口腔の健康管理にとって効果的であることを障害者歯科学会誌に投稿し掲載された。 また、成人知的障害者へのアンケート調査にあたり、知的障害者施設の施設責任者、愛知県障害者福祉協会、本学の倫理員会の承認を受けて31年度中にアンケートを実施論文を投稿する予定である。
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