本研究課題は、緩和ケアを受ける患者に臨地実習で関わる看護系大学生(以下、学生)の認識と成長プロセスを明らかにすることである。同時に、学生個々の分析を行うことで、学生の認識をナラティヴで見出そうと試みた。 研究方法として、ターミナルケア実習を終えた看護系大学3年次生9名の実習記録を研究データとし、質的統合法(KJ法)で分析を行った。質的統合法(KJ法)は、個別分析を行い、学生個々の成長プロセスが見出させるように工夫した。 結果として、複数の成長プロセスと、学生個々のナラティヴが明らかになった。学生のプロセスとして、1)自己の学習課題に気づき、患者との関係性を深めることによって、学びを深めていく成長プロセス、2)緩和医療で生じる告知や身体抑制といった倫理的問題に直面しながらも、学びを深める成長プロセス、3)自己の学習課題に気づきながらも、患者の拒否や自身のバリアによって、実習内では学びを深められなかったプロセス、4)実習終了後や患者の退院・転院後に、自己課題への気づきを得るプロセスが見出された。今後の研究課題として、これらの結果を検証し、臨地実習における学生教育で活かせるようにモデル化することが必要であると言える。 研究実績として、2018年11月に日本質的心理学会第15回学術集会での研究発表を実施した。発表テーマは、「ターミナルケア実習における看護学生の学習(成長・変容)のプロセス~質的統合法(KJ法)を用いた学生のナラティヴに迫る試み~」とし、研究結果の報告を行った。研究発表では、主に質的統合法(KJ法)、ナラティヴ、看護教育の専門家とのディスカッションを行い、研究への示唆を得た。現在、上記の結果内容を論文化するためにまとめており、医学・看護教育系の雑誌に投稿を予定している。
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