看護大学生21名を対象としたインタビューデータを修正版グラウンデッド・セオリーを用いて質的に分析を行った。分析の結果、看護大学生の精神看護学における学習経験プロセスについて12のカテゴリーと32の概念が抽出された。講義では、「生活体験にもとづいた学習態度形成」のため「自己発展的知識定着」もしくは「表面的な精神看護に関する知識の獲得」に至っていた。講義の帰結は実習でも大きく影響し、前者は「実習意義の未発見」に結びつきやすく、後者は「発展的自己学習」に向かいやすかった。このことから、学生の生活体験を基盤とした関心と講義内容の関連付けが、そのままの形で実習にも影響を与える可能性が示唆された。このことから看護学生自身の興味が授業の間に形成されることによってpositiveな実習のアウトカムが前景化し、そうでないならnegativeなアウトカムが前景化する可能性が考えられた。このため学生の経験からイメージされやすい、学生のリアリティを喚起する講義の仕組みづくりが求められた。また精神看護におけるコミュニケーションの特殊性を意識できることが疾患の理解などの知識面にも影響を与える可能性も考えられた。教員や実習指導者には学生の興味と実習の経験をつなげるタイムリーなフィードバックを含めた指導方略の構築が必要ではないかと考えられる。また今回の結果では精神看護への興味が学習開始当初から低い学生においてはnegativeな実習のアウトカムが前景化しやすいことが示唆されたが、別の科と精神科との関連を意識的に問いかる、提示することによって興味や態度が改善すると可能性も考えられた。
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