研究課題/領域番号 |
17K17403
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
李 慧瑛 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (20596324)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 看護教育 / テキストマイニング / 批判的思考力 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,臨地実習において看護学生の批判的思考,つまりクリティカルシンキング(Critical Thinking:以下CT)がどのように育成されるのかを検証することである。尺度を用いた測定とテキストマイニング分析を組み合わせた方法を用いる。 調査対象は看護系大学に在学する3年生とした。当初,調査対象を九州・沖縄管内(28校)としていたが,サンプル数確保のために全国の看護系大学(281校)に拡大し,協力を依頼した。結果,同意を得られた16機関,1400名の学生に質問紙調査を実施した。調査用紙は各大学に郵送し配布してもらった後,対象者が回答を記載し郵送で回収した。質問内容として,石橋らの臨床看護師のCT測定尺度を用いた。また,田中らの調査方法を参考とし「なぜCTを使用しようとしたか」の「目標」について,自由記述データを得た。対象にCTについてのイメージをもって回答してもらうため,質問紙にはCTの特徴を8つ箇条書きで提示した。「効果的な文脈」の記述用紙ではCTを使用すると「効果的であり,うまくいくと思う状況」を,「非効果的な文脈」の記述用紙では「効果的でなくうまくいかないと思う状況」を記述してもらった。次に「何故CT使用しようとしたか」について記述データを得た。 回収された臨地実習前のデータを整理し,解析を開始した。個人属性,生活背景との関係についてはピアソンのχ2乗検定を行った。尺度については,因子分析を行い妥当性の検証を行っている。同時に学生の生活背景,学習背景についてのデータから,CTとの関連要因の分析を継続している。実習前の質問紙では,学生の普段の生活において,CTが「効果的」であると考えた文脈と「非効果的」と考えた文脈,「なぜ使用しようとしたか」の目標について記述的データを得た。これについてテキストマイニングによる分析を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
全国の看護系大学(281校)に拡大し,協力を依頼したことで,有効なサンプル数を得ることができた。質問紙にCTの特徴を8つ箇条書きで提示したことで,自由記述部分の回答も効果的に得ることができている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,臨地実習後のデータ解析を実施する。その後,臨地実習前後で測定値の比較を行い,臨地実習で学生のCT力がいかに育成されたかを検討する。 1. 臨地実習後のデータについて,臨地実習前のデータと同様の解析を行う。臨地実習前後の比較を以下の手順で行う。1)尺度における実習前後の自己評価得点の差についてマンホイットニのU検定を行い,比較する。2)個人属性,生活背景,CT力についてspearmanの順位相関係数求める。 2. 収集した自由記述データについて,電子テキスト化を行い,以下の分析を行う。 KH Coder(ver.2.00)およびTextMiningStudioを用いて,構造化されていないテキストデータの1)形態素解析,2)頻出語,係り受けの抽出,3)クラスター分析,4)特徴語分析,5)共起ネットワークの作成などを行う。抽出されたクラスター,共起関係を元データの意味内容を確認しながら,カテゴリーに分類する。また,分析の全過程を通じて,解釈が先入観に捉われていないか,理論的妥当性を欠いていないか,確認・照合し分析の厳密性の確保に努める。尺度の測定結果を用いて,CT力の高低で対象者を分け,結果について,比較を行い看護大学生のCT傾向性を探る。
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