研究課題/領域番号 |
17K17403
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
李 慧瑛 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (20596324)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 看護教育 / テキストマイニング / 批判的思考力 |
研究実績の概要 |
研究目的は,臨地実習前後における看護大学生のクリティカルシンキング(以下,CT)を測定し,学習状況との関連を調査することである。また,臨地実習中のCT使用状況と使用理由を明らかにする。今年度は,前年に得られたデータについて分析を進めた。CT測定尺度については量的分析,自由記述データにはテキストマイニングの手法を用いた。これらの分析を組み合わせ,次の結果を得た。 対象数795名(10機関)のうち,有効回答数は実習前175名,実習後177名であった。CT測定尺度平均点は,実習前163.70±17.68,実習後171.21±19.03であった。臨地実習前後における学生のCTを比較した結果,実習を経験することでCT力は向上することが示唆された。つまり,看護実践の中でCTが育成されていくものと推察される。次に,学生の背景とCT力の関連についてみると,有意差を認めたのは「CTを知っていたか」,「大学でCTを学ぶ機会があったか」の2項目であった。対象が臨地実習開始以前にCTという言葉を知っているか,否かにより得点差が生じたと考えられる。 臨地実習中にCTを使用する状況としては,ことばネットワーク分析の結果から【問題解決】【意見交換】【患者理解】【看護展開】【内省】の5つのカテゴリーが抽出された。CT尺度の高得点群と低得点群の特徴語を比較すると,高得点群は看護ケアの中で自己を振り返るときにCTを用いることが多く,低得点群はカンファレンスなどの意見交換の場でCTを使用していることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
九州県内だけでなく全国調査としたことで,当該分野における有意義なデータを得ることができた。また予定よりも早期にデータ分析が進み,研究結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究により,看護学生のCTが実践を通じて育成されることが判明した。批判的思考を身につけることによって,自己を振り返り,目標を設定することで,自ら学び成長していくことが可能となると考える。今年度は,得られた研究成果をまとめ精力的に発表を行う。また,所属大学のホームページ等に発表内容を掲載し,社会に向けて発信する。そして,本結果を基盤にし,知識の量よりも情報を整理する力や考える力,表現する力を重視した実効性の高い学習カリキュラムの構築を目指す方策を検討する。
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