本研究は、患者・家族の攻撃性に対する臨床看護師の対処能力を育成するための教育プログラムを構築することを目的としている。 2019年度は、2018年度に看護師309名と看護学生103名を対象に実施した学習者ニーズを把握するための調査結果のうち、自由記載個所の分析を実施した。質的帰納的な分析に加え、テキストマイニングのソフトウェアを用いて量的解析を実施した。 質的帰納的分析では、患者・家族の攻撃性に対する対処能力の育成のための教育について、その意義について肯定的な意見が大半を示したものの、一部に否定的な意見が認められた。また具体的な教育方法についても利点と欠点が抽出され、教育を実施する上で注意や配慮を要する側面についての示唆が得られた。 また、テキストマイニングを用いた量的分析では、「必要」「教育」「守る」「理解」といった語や関連が多く抽出され、またこれらの語を肯定的な文脈で用いていることが示され、尺度を用いて測定した項目の分析結果や質的な分析結果と整合性があった。また、被害の経験の有無によって語の使用状況を分類した結果、身体的被害・心理的被害のいずれも受けていない者が、「対処」を否定的な文脈で用いている可能性が示唆され、被害を受けるかもしれないという不安と対処できないかもしれないという不安が連動している可能性が示唆された。 2018年度、2019年度に行った分析の結果を国内学会および国際学会で発表し、成果を公表し議論を行った。
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