地域包括ケアシステムの推進や医療機関の役割分化、在院日数の短縮化などの影響を受け、早期からの退院支援が求められている。その中でも、小規模病院は地域医療を支える基幹病院として退院支援においても大きな役割を担っている。患者や家族が、住み慣れた場所で本人が望む療養生活を続けるためには、さまざまなニーズに対応できるように、退院支援に関する知識や技術が必要である。先行研究をみると、退院支援の中心である病棟看護師の退院支援に関する課題として、継続的教育の必要性や退院後の生活を見据えたかかわりが難しいといった課題がある。そこで本研究では、退院支援を担う地域包括ケア病床を有する小規模病院を対象に、退院支援に関する教育プログラムを検討することを目的として研究を実施した。厚生労働省の届出受理医療機関名簿を参照し、東北6県の地域包括ケア病床を有する小規模病院を対象に質問紙調査を実施した。本研究において小規模病院とは200床未満の病院を指し、対象は地域包括ケア病床を有する病棟の看護師長および役職がついている看護師とした。1次調査として、149病院に研究協力の有無を確認し、研究対象となる看護師の人数を把握した。2次調査として、研究協力が得られた病院に対し対象者あての質問紙の配布を依頼した。質問紙は返信用封筒と共に送付し、郵送法にて回収を行った。多様なキャリアの看護師に退院支援に関する教育を行うにあたって、看護師のクリニカルラダーに退院支援に関する内容を組み込み、継続的で段階的な教育が可能になると考えた。退院支援に関する内容をラダーに組み込んでいる医療機関もあるが、具体的に院内で学習会等の研修に関してはしている医療機関とそうではない医療機関もあった。したがって、ラダーの対象となる看護師を含め、退院支援にかかわる多職種が一緒に学ぶ機会を設けるなどの工夫が必要だと考える。
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