近年、少子高齢化は加速する一方であり、医療・福祉の高度化や細分化が進んでいる。多種多様なニーズに対応していくためにも各専門職の専門性だけでなく、職種間の連携の重要性が増している。専門職連携教育(以下、IPE)は、英国をはじめとして、多くの国々や日本においても推進されてきている。日本ではIPEは発展途上であり、特に評価研究においてはその実証性が課題として挙げられている。IPEの評価方法は様々であり、各組織の実情に合わせて独自に行っているものが多い。既存のIPE評価尺度も因子分析の結果、因子構造のばらつきや、各因子の項目数の差が大きく、今後日本で使用するにあたり、日本の教育背景や文化も考慮しながら検討を重ねていく必要があるといった課題が挙げられている。そこで、本研究では、IPE評価尺度開発の初期段階として、尺度を作成し、その信頼性・妥当性の検討を目的とした。 既存のIPE評価尺度や先行研究を参考にし、24項目からなるIPE評価尺度を作成した。調査は、IPEを実施している保健医療福祉系大学の学生405名を対象とし、欠損のない367データを分析対象とした。天井効果のある9項目を除去し、探索的因子分析を実施した結果、11項目3因子解の構造となった。それぞれの項目内容から、第1因子「協働的能力」、第2因子「提言力」、第3因子「組織形成力」と命名した。信頼性の検討では、尺度全体と各因子におけるα係数は.70以上であり、G-P分析では全ての項目で上位群の方が高い得点を示し、弁別力が確認された。また、外的基準尺度の「ENDCOREs」と「協同作業認識尺度」とは、項目内容に概ね妥当な相関が認められた。今後は、今回の研究をIPE評価尺度作成の基盤とし、検討を重ねながら尺度の精錬を図っていく。
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