研究課題/領域番号 |
17K17412
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
上田 伊津代 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 講師 (90530709)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ベンチマーキング / 糖尿病療養指導 / 看護師 / 自律性 / 尺度 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ベンチマーキングの手法を用いて糖尿病療養指導に携わる看護師の自律性尺度を開発することである。2020年度は、これまで得られたデータ分析を行い、また前年度の成果について学会発表を行った。調査対象者が実践している患者の家族への指導内容や配慮していることを明らかにするためにインタビュー内容を分析した。その結果、6つのカテゴリー《家族との情報共有》《家族の負担への理解》《実践可能な方法の提案》《多職種との連携》《家族看護の難しさ》《サポートへの感謝》と、18のサブカテゴリーが抽出された。CDE資格をもつ糖尿病療養指導に携わる看護師は、<家族の生活状況の把握>と<患者と家族の関係性の把握>をし、患者からの情報収集とともに<患者の療養の実態把握>に努めていた。家族の<患者への不満の傾聴>に努め、民間療法などの<誤った療養法を否定しない姿勢>で接していた。負担が大きい場合には<社会資源の紹介>を行っていた。<家族の理解度の確認>や<正しい技術の説明>を行い、<退院後の技術の確認>や<療養法の工夫の提案>も行っていた。誤った療養法には<医師への報告>をし再度説明してもらう機会を設けていた。患者や家族が高齢であるが故の問題をもつ場合には<MSWへの情報提供><訪問介護・看護の調整>を行い、他方では<高齢の家族への支援><中立の立場の維持><限られた時間での関わり>への葛藤も感じていた。受診の<付き添いへの感謝>や日頃の<サポートへのねぎらい>の気持ちをもって接していた。対象者は、家族が抱える負担を軽減しようと多職種への情報提供や調整役を担っていた。しかし、高齢の患者・家族への介入の困難さや限られた外来での時間への限界も感じていたため、外来での患者家族双方への関わりを十分もてるような時間の確保や初診時などの早期からの関係構築、多職種との調整能力向上が必要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の流行に伴う休校や遠隔講義・実習などの準備に多くの時間が必要となり、教育のエフォートの割合が増え、研究活動に割ける時間が限られてしまったため。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響がある中でも対象者から得られたデータの分析を一部ではあるが進めることができたため、次年度も同様に分析の継続と試作版尺度の作成および質問紙調査を実施していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度で全国的な質問紙調査を実施予定であったが、新型コロナウイルス感染症の流行をうけ調査を実施しなかったため封筒や通信費等の出費がなかったため。
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