研究課題/領域番号 |
17K17414
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研究機関 | 日本赤十字豊田看護大学 |
研究代表者 |
巻野 雄介 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 講師 (10635410)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 末梢静脈穿刺 / ウェアラブル / 静脈透過装置 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、末梢静脈穿刺におけるウェアラブル型静脈透過装置の効果を検証することである。 当初予定していた海外製のデバイスの購入が難しく、新たなウェアラブル型の静脈透過装置を検討した。その結果、外部ディスプレイへの出力も可能な VueTek Scientific社製のVeinsiteを用いることとし、デバイスを購入した。Veinsiteそのものは画像や動画を録画する機能を持たないため、分析や記録、実施者への訓練プログラム用に出力した映像を保存するための外部デバイスを整備した。 その後、研究の初段階として、研究者2名の上肢2肢を用いて可視化性能を検証した。Veinsiteを用いて通常の病室環境に似た室内の蛍光灯下で確認できた血管は、日光など非常に強い照度下では腕と血管のコントラスが得られず、血管の存在が確認できなかった。わずかな照度の違いでは、Veinsite上の見え方に大きな差はなかった。Veinsite上で確認できた同一血管上を①明瞭に見える部位、②見える部分と見ない部分の境界、③見えなくなった部位の3点を定め、エコー装置Noblus(日立製)にて血管の深さを測定した。その結果、深さ2mm以下では明瞭に観察可能であり、深さ4mm付近では血管がぼやけて生じされ、それよりも深いと表示されないこととがわかった。エコー上7mmほどの深さで確認できる血管はVeinsiteではまったく確認ができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究者の勤務先が変わったこと、当初の海外製のデバイスの購入に難渋し、 VueTek Scientific社製のVeinsite入手まで大幅な時間を要したため、ヒトの静脈を用いた検証が十分にできていないことから進捗状況はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
可視化性能の検証として、目視下とVeinsite下でどれだけ静脈血管の確認に差が生じるかを検証する。これは複数の上肢を可視光カメラとVeinsiteにて撮影し、看護師に主観的に静脈がどれがけ確認できたかを評価してもらった結果を用いて比較する。 その後、通常の穿刺法とVeinsiteを用いた上での穿刺法とで静脈穿刺の成功率や作業負荷、主観的難易度に差があるかを比較試験にて検証する。対象となる看護師が所属する部署(病棟)にウェアラブル静脈透過デバイスを導入し、使用できるように一定時間の研修を行う。その後、看護師の日常業務の中で、目視困難であると評価された静脈を持つ患者に採血および末梢静脈カテーテル留置を実施する場合に、デバイスの使用の有無をランダムに割り付け、当該技術を実施する。それぞれの方法による成功率、実施後に測定した作業負荷(NASA-TLX)や主観的な手技の難易度から、Veinsiteの方が目視下よりも優れているかを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
進捗状況がやや遅れることにより、当初予定していた臨床研究が実施できていない。そのため、臨床研究に要する旅費や人件費・謝金が発生せず次年度使用額が生じた。
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