研究課題/領域番号 |
17K17415
|
研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
田中 佳子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 助教 (70550804)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | シャント血流音 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、血液透析のシャント血流音とその狭窄度、その他の患者の動脈硬化の指標等の身体的要因との関連性を明らかにすることである。そのうち、2017年度は、聴診器付きマイクを試作して実際のシャント血流音を録音し、シャント血流音の周波数解析を行った。これにより、シャント血流音を正確に集音し録音できるかという、聴診器付きマイクのシャント音聴診に対する妥当性を検証した。 方法は、まず①録音した自己血管シャントにより血液透析を行なっている76名分のシャント血流音の特徴量を抽出した。特徴量は、周波数パワーの割合(フーリエ変換後周波数スペクトラムを求め4つに分割した周波数帯域ごとのパワーを総和することで割合を算出)、MFCC(メル周波数ケプストラム係数:人の周波数知覚特性を考慮して重み付けされた特徴量)、正規化相互相関係数(2つの画像感にどれくらいの相互相関係数があるかを表したもの)である。その後、対象者のエコー画像より算出したRI(血管抵抗指数:0.6未満はシャント狭窄疑いなし、0.6以上は狭窄疑いあり)と特徴量の関連を求めた。また、②プレ調査で用いた電子聴診器でもシャント血流音を録音し、①と同様の方法で特徴量を抽出し比較した。そして③先行研究のシャント狭窄に関するスタッフの判断とRI値との関係性(スタッフの正答率0.59)とも比較した。 結果は、①の正答率は0.553、②は0.483であり、プレ調査で用いた電子聴診器よりも今回試作した聴診器付きマイクの方が、識別制度は高かった。しかし、③のフタッフの判断よりも低い結果であった。本結果より、試作した聴診器付きマイクを今年度予定している調査に使用予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度の研究計画にあるプレ調査は、学会発表を行い、現在投稿準備を進めている。 研究計画に入れていなかった2017年度の調査を行ったことは、今年度行う調査に有益なので概ね順調に進展していると評価する。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の夏までに、シャント造設後2ヶ月以内の、自己血管シャントによる血液透析を行なっている患者を対象に、シャント血流音や身体的情報や既往歴等のデータを収集する。解析、分析まで本年度中に行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究について音響の専門家にスーパーバイズを受ける予定であったが、共同研究という形をとり、謝金が不要となった。今年度は、プレ調査での学会投稿、シャント血流を解析するソフトを購入、フィールド調査を行う計画である。
|