研究課題/領域番号 |
17K17422
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研究機関 | 健康科学大学 |
研究代表者 |
黒田 梨絵 健康科学大学, 看護学部, 助教 (50784584)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 孤立時対応体制 / 避難所運営体制 / 初動体制 / 応急期体制 / 医療救護所 / 減災 / 山間地域 / 自然災害 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、山梨県東部において、自然災害発生時に中心となって対応する施設である自治体・病院・消防・警察の各施設の初動(発災当日)、および、応急期(発災2日目・3日目)の活動体制(①)と各組織の災害への備え(②)を明らかにすることを目的とした。また得られた結果を、山間地域という地域特性に合致する災害対応体制の構築に資することを目的とし、インタビュー調査および質問紙調査を実施した。 インタビュー調査は、自然災害発生時に中心となって対応する施設である自治体・病院・消防・警察で指揮をとる管理者18名を対象に実施した。質問紙調査は、同様の各施設の管理監督者57名を対象に実施し、37部の調査協力を得た。 その結果、初動・応急期体制の課題(①)として、避難所医療救護所の運営管理体制の未整備、道路の寸断等による孤立時対応体制の未整備等が挙がった。孤立する山間地域という地域特性を有する山梨県東部において、初動・応急期における活動で優先度の高い避難所医療救護所の運営管理体制や孤立時の自助・共助・互助を基盤とした連携対応体制等の実践可能で具体的な体制が未整備である傾向がわかった。また、各組織の災害への備え(②)は、自施設が耐震・免震構造かがわからない、食糧等の備蓄品に関して把握していない等、自施設の災害への備えの設備・資機材等に関して把握していない傾向がわかった。 これら結果から、次年度は、減災に向けて、実践的で具体的な対応が見える避難所医療救護所の運営フローチャートの作成、および、各施設内の災害への備えに関する職員教育を実施する必要があるという重要な方向性が見えた。以上、平成30年度までに行なった調査結果を基に、最終年度にフローチャートを作成し、実行できる準備が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、自然災害発生時に中心となって対応する施設である自治体・病院・消防・警察で指揮をとる管理者および管理監督者を対象に調査を実施し、各施設の初動(発災当日)、および、応急期(発災2日目・3日目)の活動体制を明確にすることを目的として取り組んできた。研究計画どおり、各施設の対象者に調査を行い、完了した。 調査対象者数においては、研究計画時はインタビュー調査対象者数30名、質問紙調査対象者数200名程度を目標としていたが、調査依頼時に各施設から協力を得られた結果、インタビューは18名、質問紙調査は37名より回答を得ることができた。計画した人数よりも少ないが、「各施設の初動および応急期の活動体制」に関する新たなカテゴリーが抽出されなくなったところで調査終了としたため、成果を得ることができたと判断する。 調査結果をまとめた報告書冊子を作成し、各調査施設等にフィードバックするとともに、地方紙等を活用して、住民に調査結果をお知らせした。また、その一部の成果が5月の学術誌に掲載予定である。そして、これまでの成果をまとめ、論文投稿の準備を行っている状況である。 以上のことから、本研究課題の進捗状況は、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画通りに遂行する予定である。 具体的には、平成31年度は、これまでの研究結果を受けて、山梨県東部における災害時の避難所の救護体制に焦点を当て、避難所医療救護所の運営等の体制に関するフローチャートを開発し、地域住民と自治体・病院・消防・大学等との合同訓練を実施し、フローチャートの有用性を検討するため、質問紙調査を実施する。 また、明らかになった結果をまとめ、研究成果を学会発表、論文作成をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会に参加した際、旅費の負担を軽減できるように工夫した分が、残金となった。 最終年度は、主に地域住民と自治体・病院・消防・大学等との合同訓練の実施と調査をする際に必要となる消耗品の購入のために使用する計画である。
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