山梨県東部の病院、市役所、消防、大学で災害発生時に対応の指揮をとる者でワーキンググループを立ち上げ、「本地域の住民が望む災害発生時の対応体制」と「病院、市役所、消防の災害発生時の対応体制の課題」の中から、優先順位の高い喫緊の課題を抽出してマッチングした。その結果、住民から挙がった災害発生時における病院への「医療施設への傷病者受け入れと対応」のニーズ、および、病院の課題として挙がった「傷病者受け入れ体制の未整備」に焦点を当てることとし、本年度は、地域内で対応可能な傷病者受け入れ体制の構築のために傷病者受け入れ対応フローチャートを検討し作成した。フローチャートは、今回初めて作成する傷病者受け入れ体制であることから、体制構築の第一歩となる、病院に受診した傷病者をトリアージし、各トリアージエリアへの搬送までの一連の流れを示すこととなった。作成したフローチャートの有用性を検証することを目的とし、多職種合同傷病者受け入れトリアージ訓練を実施し、訓練の評価と今後の課題の抽出のために質問紙調査を実施した。 質問紙調査は、訓練に参加した253名を対象に実施し、157部の調査協力を得た。 その結果、今回始めてフローチャートを活用した多職種合同傷病者受け入れトリアージ訓練を実施し、職員は傷病者受け入れからエリア搬送までの流れの共通認識が持て、発災時の病院の状況や雰囲気も感じていた。しかし、訓練目的がトリアージから各エリアへの搬送までであったため、各エリアの対応体制や患者対応の帰着の不明確さ等が課題に挙がった。 本年度の研究結果から、病院における傷病者受け入れ体制のフローチャートを作成し、「患者受け入れ」という部分の有用性は確認できた。しかし、患者受け入れだけでなく、各エリアでの対応体制、入院対応や転院搬送、帰宅といった帰着までの対応体制について今後も検討を継続することが研究の課題である。
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