研究課題/領域番号 |
17K17423
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
河村 諒 愛知医科大学, 看護学部, 助教 (70764083)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 広域避難 / 高齢被災者 / 継続支援 / 看護職者 |
研究実績の概要 |
平成29年度は,広域避難した高齢被災者に対する継続支援の実態を把握することを第一段階とした。愛知県被災者支援センターでパーソナルサポート支援チーム会議に定期的に参加し,継続支援が必要となる広域避難者への支援の在り方について多職種と協議を重ねた。また,広域避難者を対象とした健康相談会に観察者としての参加者として参加できた。健康相談会では,健康に関する相談だけではなく,仕事や社会的役割の喪失体験などの語りがあった。震災後,加齢に伴う身体的な衰退,身内・家族の喪失も加わり,生きる意欲そのものに影響を与え兼ねない症例など,今後の生活に関わる不安の実態が把握できた。 調査としては健康相談会に参加している看護職者(看護師,保健師)5名にインタビュー調査を実施した。看護職者と広域避難した高齢被災者は,健康相談会そのものが不定期開催であるため信頼関係の構築には時間を要し,今後の生活や帰還後の生活に関する意思決定支援の在り方が難しいこと,また多職種間の支援情報の共有方法や支援を終える時期が不明確であること等,日々変化している複雑な課題に直面していることが明らかとなった。健康生活に関する問題の場合,看護職者は具体的な対策が提示可能である。しかし,広域避難した高齢被災者には福祉や経済支援などの方略についての専門的な知識は乏しく,多職種との連携・協働には調整が不可欠となる。それらを包含するような多職種連携・協働のチーム作りが必要といえる。今後の取り組みとしては,広域避難した高齢被災者に関わる看護職者だけではなく継続支援に関わっている職種からもインタビュー調査を行い,連携・協働の強化に向けて必要な構成要素を抽出し,3年目の生活再建支援モデルを構築していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,広域避難者を対象とした健康相談会に観察者としての参加者として参加し,今後の生活に関わる不安の実態が把握できた。また,広域避難した高齢者に継続支援をしている看護職者が実践のなかで抱く困難について,5名の対象者にインタビュー調査を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
広域避難した高齢被災者と継続的に関わりのある看護職者は,健康に視点をあて,さらに生活(福祉,経済支援など)を支える問題そのものを解決していくために多職種との連携・協働や調整が不可欠となる。それらを包含するような多職種連携・協働のチーム作りが必要であるため,今後は,看護職者だけではなく継続支援に関わっている様々な職種からもインタビュー調査を行い,連携・協働の強化に向けて必要な構成要素を抽出し,生活再建支援モデルを構築していく必要がある。
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