本研究は、看護師を対象に子育てと介護のダブルケアの実態と、精神的健康度/身体的健康度との関連を明らかにすることを目的とした実証研究である。 病院評価機能をWebで公開している首都圏の病院に勤務する看護師を対象に質問紙調査を行った。1043名の調査票配布に対し、509名回収した(回収率48.8%)。有効回答は484名であった。484名中、ダブルケアをしている看護師が8%(39名)、介護を実施している看護している看護師が6%(27名)、子育てをしている看護師が51%(246名)、介護と子育てをしていない看護師が36%(172名)であった。 ダブルケアをしている看護師の年齢は40歳代が全体の51%と多く、50歳代が41%、30歳代が8%であった。ダブルケア中の看護師の子供の数は1.9±0.8人、介護をしている人数が一人ではなく、二人の割合は19%であった。精神的および身体的健康の実態SF-36V2の結果より、8つの下位尺度で対象者の得点が国民標準値より低かったのは、8つ中7つあり、特に活力と社会生活機能が低かった。マルチタスクで忙しい日々を過ごしているダブルケア中の看護師は、疲れを日常的に感じており、ふだんの家族を含めた周囲の人との付き合いが妨げられている。これらをふまえ、職場環境の整備を含めた具体的なサポートをしていく必要がある。そして、現在ダブルケアではないが、近い将来ダブルケアを行う可能性のある若い世代が、健康で働き続けることができるような支援を構築していくことが重要である。
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