安静降圧療法が必要なStandord B型急性大動脈解離患者において、急性炎症反応や疼痛の惹起により、自律神経活動のバランスは乱れ、血圧管理に影響をおよぼすと推測されるが、大動脈解離発症後の自律神経活動の変化はこれまで解明されていない。したがって、本研究の目的は、安静降圧療法管理となるStandord B型急性大動脈解離患者を対象に、自律神経活動の変化を経時的観点から明らかにすることである。対象とする疾患の特色から、入院時の状態により、インフォームドコンセントの実施が困難な場合を想定し、オプトアウトおよび状態安定後にインフォームドコンセントを行う方針で研究を継続してきた。研究開始初年度から2020年度末までには、目標症例数である20例の登録を2施設で達成できた。しかし、コロナウィルスのパンデミックにより、各施設での外来診察も影響を受け、退院後のデータ収集は困難となってしまった。そのため、入院中のデータを主として解析を進めている。また、目標症例数に達したこともあり、当初予定していた仙台厚生病院での症例登録は、コロナ状況下での施設介入制限もあったため、中止とした。2施設で登録した安静降圧療法管理のB型急性大動脈解離患者のCT画像評価は、心臓血管外科医または放射線科医の協力を得て、実施中である。なお、現在までに本研究に直接関連した有害事象は認められず、安全にデータ収集を行うことができた。
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